配信+宅配で品ぞろえ日本一--国産VOD「TSUTAYA TV」が目指した“日本的”進化

 カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のグループ会社であるT-MEDIAホールディングスが運営する「TSUTAYA TV」は、2008年にサービスをスタートした映像配信サービスの先駆け的存在だ。

 8月にはユーザーインターフェースを刷新する大幅なリニューアルを実施。1カ月で20本までという本数制限をなくし、月額税別933円の料金を据え置いたまま、対象作品と新作2本が視聴できる「動画見放題」プランを導入した。全国に1450店舗を展開するレンタルショップ「TSUTAYA」が持つデータベースを武器に、独自のレコメンドと品ぞろえを追求するTSUTAYA TVのリニューアルポイントと今後について、T-MEDIAホールディングス取締役の根本浩史氏に聞いた。


8月末のリニューアルでインターフェースを一新した「TSUTAYA TV」

"35歳の壁”を打ち破るために始めた「TSUTAYA DISCAS」

--8月末のリニューアルから1カ月半が経ちました。反響はいかがですか。

 出足としてはお客さまに支持されていると感じています。今回のリニューアルでは、2008年に実装したユーザーインターフェースを一新しました。当時と現在とでは、明らかに環境が変わりました。スマートフォンも普及していませんでしたし、回線もテクノロジも違います。テレビで見た続きをスマートフォンで見られる、安定した回線で高画質再生にも耐えられる、そんな今の時代に沿った使いやすい形を目指しました。

 TSUTAYA TVがターゲットにしているのは"映画好き”の方たちです。そのためコンテンツ面では、品ぞろえを重視しました。現在DVDやBDなどパッケージになっているのは約23万作品ありますが、その中で配信の許諾が下りているのは約5万タイトル。増加傾向にはありますが、現時点ではパッケージに及びません。

 そこで、宅配レンタルサービス「TSUTAYA DISCAS」と合わせることで、配信にはないコンテンツまでカバーしました。すぐに見られる配信と、1日待てばDVDで取り寄せられる宅配レンタルサービスをあわせることで、品ぞろえNo.1を実現しました。

--店頭、宅配、配信と時代とともに提供するサービスも増えてきましたね。

 CCCではリアル店舗のTSUTAYAとして、長く映画やドラマ作品のレンタルを手がけてきましたが、レンタル頻度を見ると、35歳からレンタル率が少し減るんですね。この理由を分析していくと、仕事であったり、家庭であったり、忙しくなる時期と重なることがわかりました。

 店頭でのレンタルは、返却時にまた新しい作品を借りてもらうことで、ユーザーとの接点を強めていきますが、返しにいけない時がどうしても出てくる。ようやく返しに行けても延滞料を払わないといけない。そういうサイクルになってしまうと「返すのが大変だから借りるのはまた今度にしよう」となってしまいます。


T-MEDIAホールディングス取締役の根本浩史氏

 そういった「映画やドラマは見たいけれど、店舗に行く時間がない」と感じている人に向けて立ち上げたのが、宅配レンタルのTSUTAYA DISCASです。これはまさにドンピシャで、店頭に来るのは難しいと感じていた会社員の方や子育てで忙しい主婦の方にご利用いただいています。

 TSUTAYA TVにおいては、ネットの回線が太くなって、スマートフォンやタブレットなどのデバイスが進化して、高画質で映像作品を見る環境が整ってくなか、そこの部分も用意しておかなければいけないという強い気持ちで開始しました。

 ですから、TSUTAYA TV個別のサービスというよりも、TSUTAYA DISCASに、さらに1日またなくてもその場で映像作品を楽しめるという、新しいサービスがついた拡張版的要素が強いと思っています。配信だけだと作品数が少ない、宅配レンタルだと時間がかかる、といった両方のウィークポイントをTSUTAYA TVとTSUTAYA DISCAを使って補うことで、映画好き、ドラマ好きの方に便利に楽しんでもらえるサービスを用意できました。

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