UPDATE LG Displayは現地時間5月19日、本社を置く韓国で開いたメディア向けイベントで、「壁紙」のように薄いテレビのコンセプトモデルを公開した。これは55インチの有機EL(OLED)ディスプレイで、重さは1.9kg、厚さは1mm未満だ。壁に取り付けた磁気マットを使えば、このディスプレイを壁に張り付けることができる。ディスプレイを壁から取り外すには、このマットから剥がせばよい。
今回のデモは、LG Displayの将来のロードマップに関する大規模な発表の一環として行われたものだ。同社によれば、有機EL技術が今後のディスプレイ戦略の中心になるという。同社の有機EL事業部門の責任者であるSang-Deog Yeo氏はプレスリリースの中で、有機ELについて、同社にとってはもちろん、業界全体にとっても「画期的な技術の代表だ」と述べている。
有機ELは次のフロンティアになると広く認識されている。この技術は、有機化合物のレイヤーを追加することで、非常に薄いだけでなく、ディスプレイを曲げることもできる。また、この有機物質はそれ自体が発光するため、バックライトも不要になる。こうした性質を持つため、有機ELではこれほど薄いディスプレイの実現が可能で、テレビだけでなく、さまざまなウェアラブル製品やその他のモバイル製品にとって魅力的な選択肢になっている。LG Displayでは、将来的にはすべての製品で、有機ELがデファクトのディスプレイ技術になる可能性があると考えている。
有機ELディスプレイは、サムスンやLG、ソニーといった企業で採用されているものの、その製造コストはまだ非常に高い。高コストの原因として以前から問題になっているのは、歩留まりの悪さ、すなわちきちんと動作する品質のディスプレイを製造できる割合の低さだ。廃棄される割合が多いほど、実際に機能するディスプレイの製造コストは高くなる。そして、これらのコストは消費者に転嫁される。たとえばLGの65インチ4K有機ELテレビは、9000ドルという高価格だ。
しかし、LG Displayは19日のイベントで、同社が有機ELの開発において大きな進歩を遂げたと語った。同社は、自らについて、テレビ用の大型有機ELディスプレイを大量生産できる初めての企業になったと宣伝し、80%の歩留まり率を達成したことを明らかにした。確かにこの数値は大きな進歩だが、液晶ディスプレイ(LCD)と比べればまだ低い。
こうした歩留まりに関する問題と、それに伴う価格の高さを考えれば、今回発表された「壁紙」ディスプレイのようなテレビが、近いうちに手頃な価格で店頭に並ぶことは、まずなさそうだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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