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ネクソンの世界戦略と欧米ゲーム会社のアジア進出の思惑が合致--NDCPが結ぶもの

佐藤和也 (編集部)2015年11月20日 08時30分
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 ネクソンは、2014年から海外のパートナー企業を対象にゲームの開発経験や運用ノウハウの共有を目的とした開発者向けイベント「Nexon Developers Conference for Partners」(NDCP)を開催している。この取り組みについて説明するメディア向けセッションが韓国の釜山で行われたゲームイベント「G-STAR 2015」の会場内にて実施された。

 説明をしたのは、ネクソンの韓国法人であるNexon KoreaのCBDO(チーフビジネスデベロップメントオフィサー)を務めるSimon Cheong氏、スマートフォン向けストラテジーゲーム「ドミネーションズ」の開発会社であるBig Huge GamesのCEOを務めるTim Train氏、スマートフォン向けダンジョン探索RPG「レガシークエスト」の開発会社であるSocialspiel EntertainmentのCEOを務めるMike Borras氏の3人。ちなみに日本においてドミネーションズはすでに配信中、レガシークエストは2016年上半期にリリース予定となっている。

左からNexon KoreaのSimon Cheong氏、Socialspiel Entertainment CEOのMike Borras氏、Big Huge Games CEOのTim Train氏
左からNexon KoreaのSimon Cheong氏、Socialspiel Entertainment CEOのMike Borras氏、Big Huge Games CEOのTim Train氏

アジアと欧米市場の違いと、お互いの長所を生かすWin-Winの関係が狙い

 NDCPは、もともと韓国のゲーム開発者向けカンファレンス「Nexon Developers Conference」(NDC)に近い形で開催されるようになったもので、2015年で2回目。今回はNexon Koreaのオフィスでノウハウの共有や相互の関係性を深めるディスカッションを実施。その後G-STAR 2015の視察した。

 NDCP開催の目的はパートナー企業間のノウハウ共有だけではなく、欧米の開発者や開発会社の発掘も兼ねている。その背景には、ネクソンの世界戦略における転換があった。

  • 欧米のゲーム会社を中心にパートナー契約を結んでいる

 ネクソンは1999年ごろから韓国で開発したゲームを欧米に展開する世界戦略をとってきたが、2004年に欧米で展開したMMORPG「メイプルストーリー」こそヒットしたものの、それ以外にヒットしたタイトルを展開できなかった。そこで同社は韓国のタイトルを展開するのではなく、欧米の会社とパートナーを組み、ゲームの開発やサービスを行っていく戦略に転換したという。

 Cheong氏は、アジアの会社はサーバネットワークなどテクノロジーに強く、欧米のゲーム会社はゲームデザインやアートなどアイデアにたけていると、得意分野が異なる点を指摘。また欧米のゲーム会社はパッケージゲームは得意ながら、ライブゲーム運用(オンラインゲームにおける継続的な運営)が得意ではないという現状があり、双方の弱点を補い長所を生かしていくというのが、パートナーを組むの狙いだ。

  • 今回のセッションのプログラム。アジアのモバイル市場やライブゲーム運用などが語られた

 欧米の会社としても、ネクソンのようなアジアの企業と組むことによってアジア市場の足がかりをつかむメリットもある。特に今回のNDCPではアジア市場を攻略したいという要望もあってか、アジアのモバイル市場やライブゲーム運用にまつわるセッションが設けられたという。

 欧米から見たアジア展開の難しさについてTrain氏は、アジア市場の特徴の1つに、フリートゥープレイ(F2P)の歴史が長いことを挙げた。欧米でもゲーム好きのユーザーは多く存在するがF2Pになじみがないため、アジア市場に関するF2Pの知識を借りたいと思い、Nexon Koreaとパートナーを結んだという。Borras氏もこの意見に同意し、特に欧州ではF2Pのシステムが誤解されているケースが多くあまり理解されてないと付け加えた。

 アジア市場の攻略に向けた具体的な取り組みについて、Train氏はドミネーションズのテーマが世界史で世界中の人に共通するテーマであるため、国ごとに内容を変えるといったことはしなかったと話す。一方でプロモーションについて国ごとに特徴に合わせて展開し、アジアではテレビのメディア効果が非常に強いとし、欧米ではやっていないテレビCMの施策を行ったという。
 
 Borras氏はレガシークエストがアジアでの配信前ということで、ネクソンとリリース後のマーケティングについて協議をしていると語る。そんななか、同氏は中国、韓国、日本のゲームを積極的に遊んでいるという。それはさまざまな国の多様なゲームを遊ぶことで、各国のユーザーの好みなどを感じとる判断材料のひとつになると語った。

 ネクソンと提携することによって得られたメリットとして、Borras氏は前述したゲーム運営を学べたことのほか、ゲームのアートデザインを軽視してはいけないということ、F2Pに関してもたくさんのアドバイスを受けたことを挙げた。Socialspiel Entertainmentでは元Rockstar Gamesで長い開発経験を持つゲーム好きが多く在籍しているが、ネクソンの開発者もゲーム好きな人が多く、ゲームに対する愛情を感じられたと語り、自分たちのゲーム作りを見直すきっかけにもなったという。なにより、こうしたアドバイスをもらえるパートナー企業は欧米では見つけにくいため、メリットが大きいとした。

 Train氏はBorras氏のコメントに同意した上で、アジア市場における特徴のひとつにゲーム内イベントの存在があり、それをドミネーションズで実施したことを挙げた。欧米のゲームではなかなかイベントをしないのだが、ドミネーションズをローンチした直後に、ネクソンからイベントを行ったりその施策を考えてくれたりとアドバイスを受けたとしている。その効果もあってか、アジア地域でのユーザーリテンションを維持できたという。こうしたアジア特有の特徴や情報を学べるところが、大きなメリットだったと語った。

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