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「Instagramの女王」が引退した理由は?--“盛れる自撮り”にハマる女子高生たち - (page 2)

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「加工した写真こそが私」

 大学2年生女子A子はSNS中毒だ。最近はまっているのはInstagramとTwitter。投稿するのはランチやファッションアイテムなどと自分だ。「食べ物も、自分が食べたいものではなくて、写真映えのするきれいで可愛いものを選ぶ。写真を撮った後は他の人が選んだものが羨ましくなることもある」。

 それだけではない。最近は、「写真に撮るための洋服が買いたくてバイトをしている。新しいものがないとがっかりして落ち込む」という。食べたくて食べるのではなく、着たくて着るのでもなく、あくまで“自分を可愛く見せるためのアイテム”というわけだ。

 高校2年生女子B乃は、目が小さいことを気にしており、「自分の顔は嫌い」と言う。自撮りした後は必ず目を大きく加工してからTwitterにアップしている。肌の状態など、気になるところは全部修正して、納得いくものにしてから投稿するようにしているという。「加工済みの写真こそが私。加工はお化粧みたいなものだから、問題ないと思う」。

 以前ご紹介したが、英国のある10代男性は、他人からSNSに投稿した写真に対して「肌が汚い」「スタイルが良くない」と言われたことから醜形恐怖症となってしまった。きれいに撮れるまで1日200枚以上も自撮りを繰り返し、しまいには学校のトイレで自撮りをするなど生活にも支障が出るようになり、学校は中退、引きこもりになってしまったという。SNSの中では、美しくなければいけないという強迫観念にさいなまれてしまった例だ。

 Eテレ「オトナヘノベル」の自撮りの回にも出演したせななんさんは、自撮りマスターだ。可愛いと言われるために自撮りを繰り返し、SNSに投稿していた彼女。自撮りのコツとして、「自分にベストな光の角度を見つけ、斜め45度で撮る」、「全身撮りの場合は、全身が映る鏡を用意し、前屈みになって足を重ねて撮るとスリムに見える」などのコツを紹介している。

やりたいことや軸を持つことが大切

 前述のせななんさんが変わったのは、自分でファッションをデザインするようになってからだ。それまでは可愛いと言われたくて自撮りを繰り返していたが、デザインをするようになってからは、デザインした服を多くの人に見てもらうために自撮りをするようになったという。ティーンが自撮りにはまる理由は、自分で自分を認めることができないことが根っこにあり、やりたいことや軸が生まれれば自撮りの罠から抜け出すことができる可能性があるのだ。

 何度も撮り直したセルフィーに写るのは、等身大の自分ではなく、自己演出したり加工して別物になった偽りの姿にすぎない。自撮りが悪いわけではないが、自撮りにはまりすぎて本来の生活に支障が出るのは本末転倒だ。

 ティーンは、自分自身を受け入れられないからこそ、過度な加工や演出に走る傾向にある。自分で自分を受け入れるためには、自信を持ち、やりたいことや目標などの軸を持つことが大切だ。それさえできれば、人の目にとらわれることも減っていくだろう。

 周囲に自撮りを繰り返して生活に支障が出ている子どもがいたら、やりたいことや目標を見つける手助けをしてあげてほしい。その子たちが自分に自信を持ち、貴重な人生をSNSで消耗してしまうことがないことを願う。


高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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