タクシー配車アプリのリスクを軽減--マレーシア政府機関が提供する安全性向上アプリ「MeterOn」

 マレーシアの首都クアラルンプールの主な公共交通機関といえば、都心を走る「LRT」と近郊を結ぶ「KTM」の鉄道網に加え、モノレール、バス、タクシーがある。2010年には大量高速輸送(MRT)システム計画も打ち出され、2017年には首都圏に新線が開通予定。車通勤から電車通勤への移行を促し、都心部の渋滞解消に向けた動きが着実に進んでいる。

 とはいうものの、現状は日本のように駅まで歩いていける人はごくわずかで、路線網もまだまだ不十分なため、車移動が欠かせないクルマ社会だ。初乗り料金がわずかRM3(約100円)と格安なタクシーが、庶民の足として欠かせない交通手段となっている。


クアラルンプールの中心地で客待ちをするタクシーの列。交渉制がほとんどで、ここでメーター制のタクシーを見つけるのは難しい。

 しかし、残念ながらタクシーにまつわるトラブルは多い。メーターを使わないぼったくりタクシーの横行に加え、タクシー運転手による強盗などの凶悪事件も発生している。過去には邦人が被害にあったケースもあり、現地の日本大使館からは流しのタクシーには乗らない、単独乗車を避ける、乗車前に家族に車両番号を伝えるよう注意喚起がなされる程だ。

 タクシー会社は運転手を社員として抱えるのではなく、タクシー車両を貸しているだけのことが多いので、サービスの良し悪しは運転手次第。ライセンスを持たない他人に車両が又貸しされているケースさえ少なくないことが、トラブルの背景にあり、安全性の向上は政府にとっても大きな課題であった。

 そんな中、現地のタクシー事情を熟知し、利用者のニーズに応えて瞬く間に広がったのが、2012年にリリースされた配車アプリ「My Teksi」だ。このアプリによって、少なくともアプリ運営会社によってライセンスが確認されたメーター制のタクシーが簡単に呼べるようになり、流しのタクシーを利用する機会は激減。それにより利用者の安全性は以前よりも格段に確保しやすくなった。

 この流れに便乗するかのように2015年に登場したのが、無料アプリ「MeterOn」だ。政府機関である陸路公共交通委員会(SPAD)がタクシーの安全性向上のために開発したもの。運転手のライセンス情報の開示、追跡機能、タクシー料金の見積り、運転手の評価、緊急連絡、苦情受付の機能を備え、タクシー利用者の安全を守る仕組みを提供している。

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