タクシー配車アプリのリスクを軽減--マレーシア政府機関が提供する安全性向上アプリ「MeterOn」 - (page 2)

タクシー利用者の安全を守る「MeterOn」とはどんなアプリ?

 陸路公共交通委員会(SPAD)が提供するアプリ「MeterOn」(iOS版/Android版)が、タクシー利用者の安全を守る機能を具体的に見てみよう。

  • 「MeterOn」の「VERIFY」画面。車両番号を入力すると、即座に写真付きの運転手の情報が表示される。(出典

 MeterOnは、Android4.0.3 とiOS7.1以降向けに開発されている。インストールしたらまずは名前、電話番号などを入力し、ユーザー登録をする。万が一の事態に連絡を取りたい人の電話番号も登録しておく。初期設定はこれだけだ。

 タクシー運転手の情報をチェックするには「VERIFY」タブで車両番号を入力。すると、直ちに写真つきの情報が表示される。その運転手についてのフィードバックも表示され、新たに追加したり、SPADへ直接レポートを送信することもできる。

 「JOURNEY」タブでは、現在地と目的地を入力して運賃を確認できる。乗車したタクシーの車両番号を入力すれば追跡機能が作動し、登録した連絡先にSMSで車両情報を即座に送信することもできる。もし、乗車中に危険を感じた時には「Emergency Assistance」のアイコンをタップすれば、SMSで危険を知らせるSOSメッセージを車両情報とともに送信でき、SPAD、警察、消防署に緊急電話をかけることもできる。

  • 万が一の時に役立つ緊急連絡システム。SMSはテンプレートがセットされているので入力は不要で、即座に危険を知らせるメッセージを車両情報と共に送信することができる。(出典

 My Teksiなどの配車アプリのお陰で、ライセンスが確認されたタクシーを利用しやすくなったとはいえ、登録タクシーも急増し、最近はほとんどのタクシーが配車アプリに登録している状態。果たして、民間であるアプリの運営会社側でどこまで運転手情報を精査できているのか、ライセンスがあれば安心できるのかには疑問符がつく。

 MeterOnを開発したSPADの動きからは、行政が民間の動きに融合し、より安全を守るための仕組みを作り上げようと積極的に動き出したことが分かる。SPADのウェブサイトで現在6つの配車アプリが紹介されていることからも、配車アプリあってのMeterOnの位置付けが窺える。

 2015年3月のリリースから約1カ月でアプリのダウンロード数は約1万4000。順調な伸びが期待されたものの現状ではまだまだ知名度は低い状態だ。なるべく国民にこのアプリの存在を知ってもらい、広く普及させることが今後の目標といえる。

 タクシー運転手にとってMeterOnは、常に国の公共交通機関の取り締まりを担うSPADに監視されることになる脅威的な存在であることに違いないが、5つ星の評価をつけるなど、サービスがよい運転手に対しては好意的なフィードバックをする利用者も多いという。利用者が増えれば、安全性とサービス向上に絶大な効果を発揮することは間違いない。

(編集協力:岡徳之)

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