成長著しい東南アジアの中でも、タイ、特に首都バンコクは、大手通信会社によるインキュベーションプログラムの促進、さらにはOokbeeやWongnai、StockRadersら地場のスタートアップによる巨額の資金調達などを背景に、域内随一のスタートアップ集積地として注目される機会が多く、地元だけでなく海外からも起業家が集い、凌ぎを削ってきた。
しかし最近は、スタートアップ市場の中心が、低い物価、快適な気候、安定したインターネット環境やコワーキングスペースの発達などを背景に、徐々に北部へとシフトしつつある。北部の中心といえばタイ第2の都市チェンマイ。東南アジアにおける新たなスタートアップ集積都市になる可能性を秘めている。
そのチェンマイで、地場のスタートアップとしていち早く成功を収めたのがモバイルゲームを開発するKIRIMARU(キリマル)だ。同社の代表で、チェンマイのスタートアップシーンを牽引するHomkong Natdanai氏に、同社の技術力や展望、そしてチェンマイのIT都市としての魅力を聞いた。
2011年に前身のIMine Softを創業した当時は、PCアプリケーションやモバイルアプリケーションなどソフトウェア開発の事業を中心としていました。その後、同じ業態であるGreen global softを設立し、HONDAやDHLなどの大手企業、チェンマイのバス会社であるGREENBUSなどからウェブプラットフォームやモバイルアプリケーションの開発案件の発注を受けるなどして規模を拡大していきました。
転機となったのは、2013年にタイで人気のクルマ改造部品メーカーECU=SHOPと出会ったことでした。彼らに、モータースポーツであるドラッグレースのモバイルゲームをリリースしたいという意向があり、それを引き受けました。ユーザーが自分でカスタマイズしたクルマでレースをするこのゲームは120万回以上ダウンロードされ、App Store ゲームカテゴリのレーシング部門でダウンロード数で1位になるなど、人気ゲームへと成長しました。
この成功がきっかけで、現在のKIRIMARUとして、モバイルゲームの開発事業を主力とするようになりました。
私たちは、元々モバイルゲームだけを開発してきたわけではありませんので、幅広い知識と技術を持っています。分野を越え、イノベーションに関して各社が競い合うタイ北部のコンテストである「NSP Innovation Awards 2015」で1位を獲得し、さらにその全国大会である「MOST Innovation Award 2015」でも1位を獲得しました。
特にVR(仮想現実)やAR(拡張現実)の分野に強く、チェンマイでもトップクラスの技術力を擁していると自負しています。3Dゲームの開発エンジンであるUnity3Dと弊社独自のプラットフォームを掛け合わせることでVRやホログラムを作り出し、ゲームの世界をより三次元に近づけることができます。
モバイルゲーム開発の技術力をさらに進化させ、よりリアルに近いゲーム世界を追求したいという思いはあります。それと並行して、弊社の技術力を別の分野でも活用できないかと考えています。日本でのビジネスの機会も探っており、先日は出張でビジネスマッチングの場にも参加してきました。
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