ここ最近のOS Xは、システムフォントを頻繁に変更している。OS X Yosemiteでは、以前まで利用されてきたLucida Grandeから、Helvetica Nueuに変更され、インターフェースでもより細いウェイトが利用できるようになっていた。このため、非Retina環境のMacで見ると、どうしても細いフォントのディザが気になり、あまり美しいとは言えなかった。
OS X El Capitanでは、Apple Watch向けに新たに製作されたシステムフォント、San Franciscoが搭載され、Apple Watch、iPhone/iPad、Macで共通化された。Helvaticaよりも小さな文字での視認性が高く、またApple製品の高級感ある独特の雰囲気を、画面上で実現するようになった。
個人的には、Helvaticaも好きだが、特に太めのウェイトのSan Franciscoフォントが気に入っている。基本的なユーザーインターフェースのデザインは変わっていないが、システムフォントが変わるとだいぶ雰囲気が違って見えるだろう。
デザイン上の変更点についてもう1つ触れておくと、ついにというべきか、Macなのにというべきか、デスクトップの上部に常に表示されてきたメニューバーを消せるようになった。普段は表示されるマウスを画面上端にもっていくとプルダウンしてくる仕組みで、Dockを隠す機能と同じ挙動だ。
確かに、アプリを全画面表示する際にはDockもメニューバーも表示されない仕組みになっていたし、デスクトップを利用する際にメニューバー分の画面領域を広く利用できる点はメリットだ。ただ、長くMacに触れてきたユーザーにとっては、どうもMacらしくないというか、落ち着かないという感覚に陥るかもしれない。
個人的には、メニューバーを消すオプションはオンにしていない。デスクトップでいくつもアプリを開いている場合、どのアプリにフォーカスが当たっているのか確認する際に便利だからだ。
筆者は主に文章執筆をMacで行っており、レイアウトやプレゼンテーション作成も日々の作業に含まれる。そうした文字を主体とした活用に置いてうれしいのが、新たな日本語フォントが追加されたことだ。
新たなフォントとして搭載されたのは、「クレー」「筑紫A丸ゴシック」「筑紫B丸ゴシック」「游明朝体+38ポかな」の4書体だ。クレーは鉛筆で書いたような雰囲気の硬筆帯、筑紫シリーズからは丸ゴシックが2種類が入った。いずれもフォントワークスによる書体だ。
また、「游明朝体+38ポかな」は、大正時代に製作された見出し向けの書体をベースに作られたひらがなの書体で、游明朝体の感じと組み合わせて利用する。こちらは字游工房による書体だ。
OS Xにはこれまで、ヒラギノゴシックの3つのウェイトが搭載されていたが、El Capitanでは一挙に増えて、W0からW9までの10ウェイトを搭載するようになった。しかしながら、El Capitanに搭載されるヒラギノフォントについては、互換性に問題があるとして、印刷等での仕様に対しての注意が喚起されている。
日本語対応についてもう1つ進化したポイントを挙げると、日本語入力システムがライブ変換に対応したことだ。これまでは、ひらがなを入力してスペースキーを押すか、句読点を打つと、文節ごとに変換してくれる仕組みだった。
El Capitanの日本語入力ではこれに加えて、入力したそばからその場で変換を初めてくれる仕組みを取り入れた。少し珍しい風景が拡がり面白いが、筆者はこれまで慣れた通常の変換の仕組みの方が使いやすいと感じている。
OS X El Capitanのレビュー、前編として、筆者の手元にある古いマシンへの導入から、パフォーマンス面、デザイン面について触れてきた。冒頭でも述べた通り、新しいMacへの買い換えを検討してきたが、それを思いとどまらせるほどのパフォーマンス向上には驚かされ、またうれしいアップデートだった。
もっとも、2015年中のMacの買替え需要を1人逃したことになるわけで、Appleにとっては不都合な真実といえるかもしれない。
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