Mac向けOSの最新版、OS X 10.11 El Capitan。筆者の手元にある2台のマシンに、El Capitanを導入して使い始めた。レビュー前編では、メインマシンのMacBook Proに、後編ではサブマシンであるMacBookの使用感をそれぞれお届けする。
一般的に、新しいOSは新しい高性能なマシンで動作させた方が快適であると考えられている。しかし、OS X El Capitanは、最も古い対応マシンとして、2007年以降のiMacとMacBook Proから対応するなどかなり以前のものまでサポートしている。
そこで、まずは最新でも最も高性能というわけでもないマシンでのレビューに取り組んでみた結果をお伝えする。
筆者のメインマシンは、2012年モデルのMacBook Pro Retinaディスプレイモデルだ。Ivy Bridgeアーキテクチャの2.6GHzクアッドコアCore i7プロセッサを搭載し、グラフィックスは内蔵のIntel HD Graphics 4000とNvidia GT 650Mの両方を搭載する。
現在使い始めて4年目で、El Capitanのリリースを機に、新しいモデルに乗り換えようと検討しているところだった。乗り換えるとしても、まずは手元のマシンを最新のOSにアップデートした方が良いため、El Capitanをインストールした。
インストールにかかった時間は、遅い米国のネット回線でのダウンロード時間を含めると、およそ1時間ほどだった。インストールが始まってからは、30分弱という時間が取られる。そのため、インストールを実行して、昼食を済ませる頃にはセットアップが終わっているはずだ。
El Capitanは、前バージョンの名前に使われたヨセミテ国立公園の中にあるランドマークで、1000mを超える巨大な1枚岩の名前だ。そのことからも、OS X Yosemiteのマイナーチェンジバージョンであることを察することができる。
そのため、インストールが終わったMacは、Yosemiteの頃との違いを見つけるのはさほど簡単ではないが、壁紙がEl Capitanに変更されているところを見て、アップデートが終わっているのだと言うことに気づく。
しかし、いざ使い始めると、全く別のマシンになったのだということがわかる。同じ2012年のMacBook Proであるにもかかわらず、アプリの起動から写真の処理など、あらゆる動作が速くなっていた。
結論から言えば、メインマシンを買い換えるのを先送りしようと判断ができるほどに、パフォーマンスが改善したのだ。
OS X El Capitanが6月の開発者会議WWDC15で披露された際、「パフォーマンス」と「エクスペリエンス」の2点にフォーカスされていると説明があった。パフォーマンスの改善は、前述の通り、新しいMacへの買い換えを思いとどまらせるほどの効果があった。
パフォーマンス向上は、画面描画に関わる部分で顕著だ。その理由のひとつが、iOS 8から搭載された統合グラフィックス環境のMetalへの対応だ。
これまでOpen GL、Open CL等を使ってきたグラフィックス処理の命令をMetalに統合でき、CPUのリソースをあけられる。iOSではゲームなどのグラフィックスに対してパフォーマンスが向上する点を強調してきたが、OS Xではゲームに限らず、Metalによる描画の高速化の恩恵を受けられるようだ。
なお、Metalが利用できるのは、2012年以降に発売されたIntel HD Graphics 4000以上のグラフィックスチップを搭載するMacであり、筆者のMacBook Proは、恩恵を受けられる最も古いマシンの1つであった。
その他にも、アプリの起動は40%、アプリ切り替えは2倍、メールで1つ目のメッセージを表示するまでが2倍、PDF表示は4倍、それぞれ高速化されるとしている。Metalのサポートに加えて、Finderなどのシステム全体にまつわるプログラムの高速化が行われたのではないかと推測している。
また、AdobeのCreative Cloudアプリケーションの実行は最大8倍高速化されるとしており、クリエーターもEl Capitanによって「パフォーマンス」という恩恵を受けられるかもしれない。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?