モバイルデバイス向けの人気ゲーム「クラッシュ・オブ・クラン」(クラクラ)を提供するフィンランドのゲーム開発会社であるSupercellは、9月に行われた東京ゲームショウ 2015にブースを出展。ファンイベント「TOKYO CLASH 2015」を催した。クラクラの大規模ファンイベントは、今回が世界で初めてとしている。
Supercellは2010年にフィンランドで設立したモバイルゲームスタジオ。リリースから3周年を迎えたクラクラは140カ国以上、また同じくモバイルゲームの「ヘイ・デイ」は120カ国のApp Store売り上げランキングで1位を記録している。これらは日本でも人気タイトルとしてあげられているほか、同社は2013年にはソフトバンクグループ入りしたことでも知られている。
東京ゲームショウに出展した意図や、Supercellが日本市場をどのようにとらえているかなどを、日本支社の代表を務めるBuddy Marini(バディ・マリーニ)氏に聞いた。同氏は長年米国、日本、香港においてエンターテインメントやIT業界に関わり、エイベックス・アジアで映画事業開発や音楽事業の代表を務めた経験も持つ。直近ではフールージャパン代表として動画サービス「Hulu」の日本展開にも携わっており、日本を含めたアジアのエンターテインメント事情にも精通している。
映像とゲームではジャンルが異なるように見えますけども、ITを活用したエンターテインメント事業という意味では同じものだととらえています。これまでも高いクオリティのコンテンツを提供して人々に喜びを与えること、そしてそれを日本の方々に届けるさまざまな活動をしてきました。
Supercellのゲームは非常にクオリティが高いというのは、プレイヤーとして個人的に遊んでいたときにも感じていたことですし、経営者からスタッフまで全員がクオリティにこだわる文化が根付いています。またSupercellは小さいチームで展開しているので、ひとりひとりの自由度が高く責任感も強い。そのカルチャーに魅力を感じました。リスクをとって失敗するのは当たり前。むしろリスクを取りなさいというぐらいな姿勢でいますし、そこで学んだことを積み上げていくという考え方が強くあります。オンラインビデオもモバイルゲームも新しい市場を切り開いて構築している段階ですので、正解がありません。だからトライアンドエラーを繰り返すことが大事です。
Supercellは新しくて小さい会社ですが、モバイルゲーム市場で初めてのグローバルカンパニーになるというミッションを掲げています。それを実現することに魅力を感じたのが、Supercellに入った理由ですね。
モバイルゲーム市場のグローバルカンパニーを目指すとするならば、日本は外せません。それは単純に市場規模が大きいという意味だけではなく、日本のゲームファンが持つ情熱や愛情は世界一と言えるぐらいのものだからです。グローバルカンパニーを目指すならば、日本における存在感を大きくしていく必要があります。
ゲームとしてのハードルが低く手軽に始められて楽しめるところ。それでいて遊び続けると戦略性があって奥が深いところですね。長く遊んでいても新たな発見を感じられます。このゲームが開発されたのはiPadが発売される直前ぐらいのころでしたが、PCのゲームのクオリティをiPadに向けて作るということをしていました。その後モバイルデバイスも出ましたが、PCゲームのクオリティをモバイルデバイスでも保つ、それをスタンダードにしているからだと感じています。
またクラクラのチームは少人数ですが、それ専門にあてています。なので常により良くすることを考えて運営しています。リリースして1年後ぐらいにクラン対戦を導入しましたが、プレイヤーが何を求めているのかを取り入れて、それ以上の機能を導入するという、つねに進化しているところが成功したのではと思います。パッケージゲームとは異なり、モバイルゲームは常に進化しつづけられるもの。プレイヤーのコミュニティから出てくる要望に対応して進化したところが受け入れられたと思います。
確かに日本の市場やユーザーは特殊なところはありますけども、日本のみなさんはエンターテインメントが大好きですし、いいものであれば海外のものでも欲しがると思います。それだけ競争は激しくいいものしか残らないというタフな市場です。そのような環境下でもこれだけのプレイヤーが遊んでくださっているのはうれしいですし、今後も日本のプレイヤーを増やしていきたいです。
そうです。日本のプレイヤーが増えている現状から、しっかりとリレーションシップを築き上げることが大事であろうと。これは日本に限った事ではありませんけど、ゲームイベントの出展は東京ゲームショウが世界で初めてのことですから、それだけ日本市場とプレイヤーが大事だと考えています。
ほかのゲームイベントとの比較はできないですが、規模にしても一般公開日における熱気にしてもすごいものがありますし、海外から訪れる方も多いです。一個人の視点から見てもすごいものがあると思います。
若い頃に任天堂さんなどのゲームを遊んで育った世代が多いですから、日本のゲームに対する憧れはあります。そこから得たものは大きく、ビジネスとしてという意味だけではなく、憧れを持った日本のゲーム市場において、自分たちのゲームも受け入れてもらいたいという気持ちをみんな持っていると思いますね。
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