人工知能を活用したビッグデータ解析事業を手がけるUBICは10月1日、業務メールなどの電子データを人工知能技術で解析し、潜在的なチャンスやリスクを知らせるビジネスデータ分析支援システム「Lit i View AI助太刀侍」の提供を開始した。同社のクラウド環境「Inteligence Cloud」で利用できるSaaSとして販売代理店が提供する。
各業務担当者の“暗黙知”や“勘”を人工知能が事前にデータで学び、業務で使用しているメール、日報、レポート、テキスト化された顧客との会話データなどを解析して、ビジネス上の重要な“予兆”を捉える。UBIC代表取締役社長の守本正宏氏は「(同製品は)データサイエンティストと同じ役割を果たす。ビッグデータの時代だからこそ、人の感性が必要」と説明する。
同社が挙げる具体的なケースは次の通り。
●営業部門
●プロジェクト管理
●人事部門
●カスタマーサポート
運用時には、まず、導入顧客の経験をもとに「検知の要否」で仕分けた一定数のデータを“教師データ”としてAI助太刀侍に学習させる。その後、Inteligence CloudのAI助太刀侍に、顧客のメールサーバやファイルサーバから電子データをインポートする。
AI助太刀侍で解析されたデータは、“検知したい教師データ”との関連性が高い順にスコアリング(点数付け)され、上位順に表示される。一定のスコアを超えた電子データが発生した場合に、AI助太刀侍から顧客の管理者に自動でアラートを出したり、高スコアのデータの詳細を表示したりできる。検知状況の統計レポートや、今後の分析レポートも作成可能だ。
UBICでは今後、APIの提供による外部システムとの連携を進める計画。販売代理店が独自に開発したレポートの出力や、分析機能との連携も可能になるという。
UBICは2003年8月に設立。これまで、国際訴訟などに必要な電子データの証拠保全と調査、分析をするeディスカバリ(電子証拠開示)や、コンピュータフォレンジック調査(コンピュータに関する科学捜査)の支援などを手がけてきた。そこで培った人工知能を活用し、医療分野などに事業の幅を広げている。2007年6月に東証マザーズに上場、2013年5月には米NASDAQに上場している。
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