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東京五輪で世界に発信したい“スポーツ×テクノロジの融合”は、何を目指すべきか - (page 2)

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スポーツとテクノロジの融合、スポーツの専門家はどう見る?


 一方、スポーツの専門家はテクノロジとスポーツの融合に何を期待しているのだろうか。室伏氏は、まずスポーツ界における動きについて「5年後のオリンピックを東京で開くという大きなチャンスに、スポーツ界も盛り上がっている。若い世代の選手はどんどん海外で活躍し、国内・海外という隔たりもなくなってきていて、周りの声に左右されずスポーツを純粋に追求する環境が出来てきており、それが成績にも繋がっている」とアスリートの立場での期待感をコメント。その上で、オリンピックとテクノロジの融合について、「5年後のオリンピックに向けて、80年代からイノベーションを生み出し世界をリードしてきた日本のテクノロジが、オリンピックでスポーツそのものにも、競技観戦の面でも“今までにない何かをやってくれるのではないか”という世界からの注目は高まっている。オリンピック開催に向けて大きなチャンスがあるという機運が高まっている中で、スポーツ界だけでなく経済界やさまざまな業界も一緒に成長していくためにはどうすれば良いかということについて議論していく必要がある」と述べた。


 この室伏氏の発言に対して、石黒氏は「みんなで一緒に盛り上げていくという意味では、オリンピックはとても良い目標だ」とコメント。その上で、夏野氏が指摘した日本のテクノロジが置かれている環境について、「インターネットで世界に負けて、ウェアラブルでも日本はビハインドの状態なのは間違いない。しかし、IoT=モノがネットに繋がる時代において、モノづくりの日本がどこまで世界で勝負できるかという期待値がある中で、日本が持っている、(室伏氏が指摘した)かつて世界をリードしてきたハードウェアを生み出すテクノロジの資産は悪いものではない。十分挽回可能なのではないか」と述べた。

 また、テクノロジとスポーツの融合については、「スポーツ界をリードしてきた人々の知見は大きな資産。そうした資産とテクノロジ企業が一緒に考えていくことで、テクノロジ企業はスポーツ界の知見から多くのヒントを得ることができ、お互いの資産を活かしながら日本ならではの勤勉さや協調性といった気質が活きる取り組みが生まれていくのではないか」と述べ、これまで“融合”という言葉と縁遠かった、テクノロジ業界の資産とスポーツ界の資産を組み合わせることで、これまでにない新しい価値が生み出せるとの期待感を示した。

“スポーツ版ビッグデータ”が生み出すエコシステム

 では実際、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、組織委員会は現在どのようなテクノロジ・トレンドに注目しているのだろうか。2020年の東京オリンピック・パラリンピックで使用されるネットワークやシステムを管轄する部署で、5年後のテクノロジ・トレンドを見据えて情報収集や計画のとりまとめをしている舘氏が説明した。ちなみに、舘氏は長らくIT業界で活躍し、1年前から組織委員会に参画しているのだそうだ。

 舘氏は、2020年に向けたスポーツとテクノロジのトレンドについて、カメラ映像分析、無線データ転送、ウェアラブル技術などの「測定・収集(インプット)」と4K・8K映像、VR、アドバンストスタッツ(競技データの高度な統計情報)などの「可視化・分析(アウトプット)」という2つの技術側面と、日々の上達を目指して課題を探る「競技者」と今までにない臨場感や面白さを求める「観戦者」という2つのユーザー属性に大きく分類。そして、こうしたスポーツを取り巻く技術やユーザーニーズの中心に、「スポーツ版ビッグデータ」が世界中で蓄積され、エコシステムを生み出していると説明した。

 こうしたエコシステムにおいて重要な役割を果たすのが、蓄積されるビッグデータを分析する人材の存在だ。「競技の中心にいるトップアスリート・コーチを支える医師、トレーナー、科学者・研究者には高度な技術や分析理論が求められる。トップアスリートとコーチにとっても、分析しなければならないデータ量はどんどん増加している。そこで最近注目が高まっているのが、データの収集・分析を専門とする“スポーツアナリスト”の存在だ。彼らは、いわばスポーツ界における“データサイエンティスト”で、事前の対戦相手分析や、リアルタイムなパフォーマンス分析によるコーチングの支援などを行っている。日本ではまだスポーツアナリストの人材は十分ではなく、トレーナーやコーチが兼任しているケースが多い」と舘氏は説明する。

  • 「スポーツ版ビッグデータ」がエコシステムを生み出している

  • アスリートが生み出すビッグデータを中心にしたエコシステム

 また舘氏によると、こうしたスポーツビッグデータはチームが選手を評価する際の尺度に用いられたり、審判が試合中に行う判定の支援、スポーツ中継の解説者による活用、観戦者に対するデータ可視化による情報提供などに用いられたりしているという。「アスリートにも最近はデジタルメディアとスポーツビッグデータを活用してファンにわかりやすく情報提供するような動きが増えてきている」(舘氏)。

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