9月7~8日に開催されたウェアラブル、IoT、VRをテーマとしたカンファレンス「Wearable Tech Expo in Tokyo 2015」の2日目。ITジャーナリストの趙章恩(チョウ・チャンウン)氏は、世界的に先行する韓国におけるIT、IoTの動向について詳細に解説した。
韓国では政府が資金面などで全面的にバックアップしていることもあり、最大手のサムスンやLGなどを中心にIoT化に向けた動きが活発だ。政府や企業が戦略として「融合・創造・革新」をキーワードにIoT化を推進しているだけでなく、こうしたキーワードが一般の消費者の中にも根付いていると趙氏は話す。IoTは社会の課題を解決するためにも重要と見ており、少子高齢化、生活の質向上、医療の改善、産業競争力の強化などにIoTを活用する動きがあるという。
IoTデバイスの1つ、韓国のスマートフォンは、普及率が85%に達すると見られる。戸籍、住民票、大学の成績、卒業証明などは全てスマートフォン上から取り寄せられ、音楽、動画、テレビなどの視聴もスマートフォンを使ったものがメインで、同氏いわく「スマートフォンオンリー」の世界だ。
最近のトピックは、ドイツのコンシューマーエレクトロニクスショーIFAで発表された、サムスンのスマートウォッチ「Gear S2」や、LGが9月に発表した貴金属を使った500台限定のスマートウォッチ「LG Watch Urbane LUXE」など。韓国内では、サムスンは技術面、LGがファッション性を重視する傾向にあると認識されているようだ。
IoTやウェアラブルの動きは大企業だけに見られるものではない。中小企業からは、カップルが互いの気持ち、愛情をアイコンで伝え合うためだけに使うリストバンド型のウェアラブルデバイスや、子供用に緊急連絡できたり居場所が分かるようになる時計型デバイスが発表されていたりする。
「スマートスーツ」というユニークな製品も登場している。2014年9月に発表されたバージョンでは、スーツの内ポケットにNFCタグが仕込まれており、その内ポケットにスマートフォンを入れると、即座にマナーモードに切り替わり、相手のNFCタグに自分のスマートフォンをかざすと名刺データを送り合えるなど、ビジネス向けの機能が盛り込まれている。2015年9月の最新版では、NFCタグが袖に付き、使い勝手を向上しているとのこと。韓国でもクールビズに取り組んでいることから、通常のスーツは売れ行きが鈍っているそうだが、スマートスーツだけは売上を伸ばしているのだという。
ビジネス向けアイテムとしては、ワイシャツに仕込まれたセンサで心電図を取ることができるもの、日本で言う「おサイフケータイ」の機能がついている「パーフェクト財布」、女性向けにスマートフォンを入れておくと勝手に充電してくれるバッグなどもあるとのこと。
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