IBMとXeroxがブレインコンピュータインターフェース(BCI)の最先端技術についてまとめた論文によると、脳波を使って制御されるスマートフォンアプリの開発に世界中の研究者が取り組んでいるという。
その用途には、脳波を使って番号をダイヤルするソフトウェアや、連絡先にメッセージを送信したり、電話をかけたりするソフトウェアが含まれる。
それらのソフトウェアは、タッチスクリーンのタップを検知してアクションを実行する代わりに、脳活動の特定のパターンを検出する。これらの脳内電気活動のピーク(P300)は、ユーザーが頭部に装着する脳波計(EEG)によって検出される。
脳制御型ソフトウェアは、「Emotiv」ヘッドセットのようにスマートフォンとの無線通信が可能な軽量EEG読み取り機の開発によって、実現可能性が高くなっている。
BCIアプリが直面する問題は精度だ。論文では、「Neurophone」が紹介されている。Neurophoneはコーネル大学が開発した脳制御型システムで、Emotivヘッドセットと「iPhone」を使って連絡先に電話をかける機能をユーザーに提供する。
Neurophoneはユーザーの連絡先の画像を順番に表示していき、希望の連絡先の画像が表示されたときのP300を検出したら、電話をかける。
正しい連絡先を検出する同システムの能力は前途有望だが、まばたきで制御される同デバイスのインターフェース(92~95%の精度を誇る)ほどの信頼性はないと説明されている。
同様に、仮想キーボードを使って中国語のメッセージを書く機能をユーザーに提供する脳制御型アプリは、80%強のピーク精度を達成した。テストにおける同システム(「Neuroscan QuickCap」で脳波を測定)の平均精度は70%弱だった。
ユーザーが集中力を削ぐ物理的な作業を行っているとき、P300を検出するシステムの精度は低下する。精度を高めるため、研究者は頭や目の動きの追跡など、ほかのデータで脳制御信号を補強することを提案した。ユーザーに提示する選択肢を絞り込むことも可能かもしれない。例えば、通話先として提案する連絡先リストを頻繁にダイヤルされる連絡先だけに制限することができるかもしれない。
論文では、「数理神経学や信号処理、機械学習などの分野の発展をモバイル端末での計算能力の可用性の拡大、さらにクラウドストレージおよび処理と組み合わせることで、一般ユーザー向けにBCIベースのアプリケーションをより多く開発する道が開ける」と結論付けている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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