ブルームバーグによると、米Intelはこのほど上海のドローン会社Yuneecに6000万ドル以上の出資をしたことが分かった。消費者向けドローン市場の70%を占めると言われている中国・深センのDJIが、5月にアクセルパートナーズから受けた出資額7500万ドルに迫る額だ。
首相官邸の事件もあり、日本でドローンといえばDJIを思い浮かべる人が多いかもしれないが、欧米や筆者の住むシンガポールではYuneecのドローンも、DJIのものと同等の認知度がある。
Yuneecのドローンについては「Phantomキラー」になる可能性なども含め、この連載でも何度か言及したことがある。Yuneecが6000万ドル以上の出資を受けた理由は、これまで培ってきたドローン技術にあるといっていいだろう。そこで、今回は同社のドローンを詳しく紹介したい。
Yuneecの主力モデルは、Typoon Q500シリーズだ。Q500、Q500+、Q500 4Kの3モデルがある。価格は、Q500、Q500+ともに1249ドル。4Kモデルは発表されたばかりで、実売価格は不明だ。
Q500とQ500+はほとんど同じだが、Q500+はカメラ性能が向上している。具体的には、Q500では映像の端が歪んでしまう現象が起きていたが、Q500+では、それが大幅に改善されている。空撮の仕事をする人からすれば、非常に大きな改善となったに違いない。
Q500シリーズにはフォローミーモードが備わっており、これまでのPhantomとの差別化ポイントとなっていた。このフォローミーモードへのニーズは高く、DJIはPhantom3の新モデルStandardにフォローミーモードを追加したほどだ。
筆者はPhantom3を購入する際、このYuneecのQ500とどちらを買うか非常に悩んだのを覚えている。フォローミーモードももちろんだが、予備バッテリと手持ちのカメラ・ジンバルが付いてくるというのが、最後の最後まで悩まされた理由だ。Phantom3の予備バッテリは2万円弱と安くはない。Yuneecの手持ちのカメラ・ジンバルは軽い上に、非常に性能が良く、地上でスムーズな動画を撮影したいときに重宝する。
ただ、サイズがPhantomより大きいという理由でQ500の購入を断念した。Q500には専用の持ち運び用ボックスがついてくるが、非常に大きく、自動車を持っていない筆者には持ち運びが大変になると思ったからだ。もし持ち運ぶ手段を持っていたなら、Q500を購入していたかもしれない。
Youtubeには、Q500所有者による動画が多数アップされており、人気があることが分かる。シンガポールでも、Q500のFacebookコミュニティがあるほどだ。実際に飛行しているところや、空撮動画を見ると、非常に安定しているのが分かる。空撮のプロも、Phantom3に比べQ500の方が安定した映像が撮影できると述べていた。
こうしたことを踏まえると、日本で販売した場合、確実に販売は伸びると思われるが、Q500の映像通信に使われる周波数が5.8GHzと国内で使用するにはライセンスが必要なため、このままでは販売できない。DJIのPhantomのように、機体コントロールと映像通信ともに2.4GHzにするか、国内規制が緩和されなければ、Q500を日本で飛ばすことはできない。
映像通信の周波数については、海外では5.8GHzが主流になっており、映像モニターなどの製品も5.8GHzでの使用が前提になっている。最近Youtubeなどで、迫力ある映像が話題を呼んでいるドローンレースでも映像通信には5.8GHzが使用されている。
この先、国内でドローン利用を促進して一大産業にしていくには、ドローンの利用者を増やし、認知を高めていく必要がある。また、若年層にドローンに興味を持ってもらうためには、ドローンを飛ばせる環境作りが重要なのは明らかだろう。
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