「佐賀を世界一の農業ビックデータ地域に」――。佐賀県、佐賀大学農学部、オプティムは8月27日、“農業IT”の分野で三者連携協定を締結した。ドローン、IoTの仕組み、ウェアラブルデバイスなどを活用し、県内と大学内にある全農業試験場で「農業に関するあらゆるデータのうち、デジタル化できるものはすべてデジタル化する」(オプティム 代表取締役社長の菅谷俊二氏)ことに取り組む。
具体的には、佐賀県の農業関係試験場、佐賀大学付属農場の全10農場での農作業で(1)ドローンを使って空撮した動画、(2)農場に設置したセンサからの温度や湿度、雨量といったデータ、(3)農作業者がアイウェアデバイスを着用して取得した作業時の動画――などをクラウドに吸い上げて蓄積する。
「まずは農業ビッグデータをためることを始める。平行して、佐賀大学で解析手法の研究を進め、データの活用方法を模索していく」(佐賀大学 農学部長の渡邉啓一氏)
同日、オプティムはドローン、センサ、ウェラブルデバイスをリモートで統合管理し、取得したデータを解析するクラウドサービス「SkySight」を発表した。「SkySightは後からデータ解析アプリケーションを追加できる仕様になっている。新たな解析手法が開発されたら、順次実装していけばよい」と菅谷氏。
SkySightに実装済みのデータ解析機能の1つに、ドローンが農場を空撮した動画を静止画に分割してRGB解析(赤、緑、青の配合比率を解析)し、作物の葉の色から枯れや害虫発生などの異常を検知するアプリケーションがある。動画分割の仕組みは、オプティムがリモートサポートサービスの開発で培った画面共有機構の要素技術を応用。RGB解析の仕組みは今回新規開発した。
「ドローンの画像解析で害虫のいる木を特定できるようになれば、これまで一斉散布していた農薬をピンポイントで撒くようなことが可能になる」(渡邉氏)。現在、オプティムと佐賀大学は、どの程度の解像度で害虫を特定できるのか、害虫を特定するための画像解析の手法を共同で研究している。
今回の取り組みでは、農業データを蓄積するとともに、ウェアラブルデバイスを活用して農家の農作業を支援する。
オプティムは、8月5日にアイウェア型ウェアラブルデバイス(スマートグラス)を活用した遠隔作業支援サービスRemote Action」を発表している。Remote Actionは、スマートグラスを装着した現場の作業者の視界上に遠隔から文字や矢印を書き込み、作業箇所や内容を指示するシステムだ。これを農業に応用して、専門知識を持った県職員が、農場で作業をしている生産者に対して「この苗を切る」「作物のこの部分に病気がある」などの指示や情報提供を可能にする。
渡邉氏は、「ウェアラブルでつながる世界で、若い人が憧れる“かっこよく稼げる”農業を実現していきたい」と述べた。
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