Project Rigelは無料で提供されるが、AdobeのサブスクリプションサービスCreative Cloudの基盤をなすPC版Photoshopと密接に連携する。Creative Cloudは、Photoshopと「Lightroom」を月額10ドルで、Adobeのソフトウェアスイート一式を月額50ドルで提供するサブスクリプションだ。
Project Rigelには、ユーザーにAdobeの写真編集ソフトウェアを試させて、他のサブスクリプションサービスに登録するよう誘導するという役割がある。
Adobeの目標は、異なるデバイス間を簡単に移動できるようにすることだ。具体的には、Project Rigelでの編集で追加された変更の1つ1つが、Photoshopファイル(PSDファイル形式)で独自の編集レイヤになる。そのため、Creative Cloudのライブラリ機能を使って、完全なPhotoshopにスムーズに引き渡すことができる。また、編集による変更では、画像の元のピクセルが変更されないため、変更を元に戻すこともできる。
「見えない部分で別のPhotoshopレイヤを作成し、デバイスを移ったときに焼き付ける」(Anand氏)
同アプリを幅広いユーザーにとって使いやすいものにするため、Adobeは「Dodge」(覆い焼き)や「Burn」(焼き込み)といった暗室で使われていた古い用語を、一般ユーザーが理解しやすい「Lighten」(明るくする)や「Darken」(暗くする)という表現に改めた。ただし、「Structure」(構造)のように、慣れるのに少し時間がかかる用語もいくつか残っている。
Rigelアプリの画面下部には、切り抜き、調節、ゆがみ、修復、スムーズ、照明効果、カラー、ペイント、レンズぼかし、ビネットなど、多数のオプションがある。各オプションをタップすると、他の選択肢を含むサブメニューが表示される。左側には、実行する調整を微調節できる機能が配置されている。たとえば、変更を加えるときの編集ブラシのサイズやエッジのぼかし具合を変えることができる。
新しい顔認識ツールは、「Liquify」(ゆがみ)メニュー内にある。顔を検出すると、目や鼻、口、あご、頬の上にコントロールポイントを重ねる。それらの点を使って、顔のパーツを微妙にリサイズしたり、動かしたりすることができる。
Anand氏は、「少し安っぽい機能に思えるかもしれないが、実際はプロフェッショナルと共同で開発したものだ」と述べた。顔認識ツールはPC版Photoshopにはないが(今後搭載される予定)、このツールで加えた変更は、PC版のゆがみツールと互換性がある。
Project RigelアプリはCreative Cloudと連携するが、スタンドアロンのプログラムとして利用可能で、DropboxやFacebookなどのソースからファイルを読み込み、編集が終わったら、ソーシャルメディアやiOSのカメラロール、Adobeの写真編集および管理ツールLightroomなどと共有することができる、とAnand氏は言う。
AdobeはProject Rigelを膨大な数のユーザーにダウンロードしてもらうことを目指している。まずはAppleのiPhoneとiPadのユーザー向けに公開し、その後Android版も提供する予定だが、Anand氏は具体的な時期は明かさなかった。
だが、純粋なダウンロード数より重要なのは、どれだけのユーザーが有料のPC版Photoshopに登録するかということだ。
Anand氏は恐れることなく、この新しいPhotoshopツールに大きな期待を抱いている。「世界的に認められたレタッチ機能をモバイルデバイスで利用できるアプリだ」と同氏は語る。今のところ、モバイルデバイス向けのPhotoshopはPC版のように不可欠なツールではないが、「そうなることを目指している」という。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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