UPDATE サンフランシスコ発--「Photoshop」はとても知名度の高い製品で、この製品名自体が写真の編集を意味する言葉になっているほどだ。とはいえ、このソフトウェアが成功を収めているのはパーソナルコンピュータにおいてのみで、スマートフォンやタブレットでは事情が異なる。
Photoshopの開発元であるAdobe Systemsは、10月に開催する開発者とプロのクリエーター向けカンファレンス「Adobe MAX 2015」でこの状況が変わることを期待しており、この際に写真編集用の新たなPhotoshopアプリをまずはAppleの「iPhone」と「iPad」用に、そして、それに続いてAndroid搭載デバイス用に発表する計画だ。今のところ「Project Rigel」とだけ呼ばれているこのソフトウェアは無料で、威圧感を感じるほど複雑なコンピュータ向けプログラムの機能をより簡単に利用できるインターフェイスを備えた設計になる。
「Project Rigelは、デスクトップのレタッチツールに慣れたプロのニーズに対応しながらも、むしろコンテンツに応じた塗りつぶしやスポット修復ブラシといったPhotoshopのツールに慣れていない人々を念頭に置いて設計、開発されている」と、Adobeでデジタルイメージング担当シニア製品マネージャーを務めるManu Anand氏は、サンフランシスコにあるAdobeのオフィスで行われたインタビューで語った。
このアプリにはタッチスクリーンインターフェイスが搭載され、編集オプションのメニューが画面の下部に、ポップアウト式のツール調整が画面の左側に表示される。また、太い指先で画像の一部領域を選択する際にも正確に編集できるよう、強力なズーム機能も用意されている。さらに、コンピュータ向けPhotoshopにはない顔認識技術が搭載されており、この機能で顔のパーツを認識できるため、目の大きさや角度を変えたり、口角を上げて笑顔を強調したりすることもできるという。
自社の事業を最近のコンピュータ業界のトレンドに適応させようと取り組んでいるAdobeにとって、Photoshopを一般のモバイルユーザーに利用してもらうことはきわめて重要な課題となっている。
Adobeは何年も前からモバイルアプリの開発に取り組んできたが、2011年にリリースした価格10ドルの「Photoshop Touch」は合格レベルに達しなかった。Adobeは2015年5月にPhotoshop Touchの提供終了を発表するとともに、Project Rigelについても少しだけ紹介している。ただし、簡易な写真編集アプリの「Photoshop Express」や2枚の写真を組み合わせる「Photoshop Mix」といった関連のモバイルアプリは、現在も提供している。
モバイルデバイスの世界では、写真を編集したいユーザー向けの競合製品がひしめいている状況だ。「Pixelmator」や「VSCO Cam」、さらにはGoogleの「Snapseed」といったアプリの存在は、モバイルデバイスではパーソナルコンピュータの場合とは違い、Photoshopが絶対的なソフトではないことを示している。Adobeは2014年にモバイル編集アプリを手がけるAviaryを買収したが、同社のアプリは今でも提供されている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス