9~12月まで実施予定のネット利用実態調査は、全国の小学生から高校生の児童・生徒を対象に、7~15万サンプルの回収を目標とする。江口氏は、この調査の目的について、「青少年のネット、特にスマートフォンの利用実態やトラブルの傾向を正確に把握することが、トラブル撲滅の第一歩だ」と述べ、トラブルの発生傾向とその根本的な要因を把握することで、今後どのような啓発活動や対応策が有効かを考えるきっかけになるとした。
調査項目は学校生活の状況、心理的特徴、対人関係、メンタルヘルスなど多岐にわたる。いじめ経験についても聞くが、江口氏によると個別のトラブル発生を洗い出すことが目的ではなく、そのための設問は想定していないとのこと。調査結果は2016年3月に1次結果を公開し、匿名加工したすべての調査結果を研究機関、教育関係者、報道機関に公開していくという。
「今回の調査結果に、仮説に基づくシミュレーション、教育・情報社会・情報工学・臨床心理学などの学術的視点、さらなる実態調査などを加えて、トラブルの根幹を見つけ出し、課題の根本的な解決を目指したい」(江口氏)。
江口氏は、これまで講演やワークショップを開催した各地の学校で実施した約3万人分のヒアリング調査の結果を公開。それによると、LINEの利用率は小学校高学年で約37%、中学生で約59%、高校生で約95%に達しているという。また利用状況は、年齢が上がるにつれてリビングなど人がいる場所から自室、ベッドの中など個人のスペースに移行していく傾向があり、利用時間は過半数が「1時間未満」である中、5時間以上の利用者も約7%存在しているとした。
「“嫌だな”と思った経験はあるか」という質問には、小学5年生から高校2年生までは「ある」という回答が増加傾向にあった。また、具体的に嫌だと思ったことについては、「知らない人からの友だち追加」や「長時間のトーク」が挙げられ、「既読無視」を挙げた人は15%前後だったという。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境