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若手×新規事業をソニーの中で育てる仕組み「First Flight」

加納恵 (編集部)2015年07月31日 10時00分
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 ソニーは7月1日、クラウドファンディングとEコマースを備えたウェブサイト「First Flight」を開始した。すでに3つのプロダクトが掲載され、電子ペーパーを用いたリモコン「HUIS REMOTE CONTROLLER」は期間限定でクラウドファンディングを実施している。

 家電量販店で数多くのプロダクトを販売する一方、ソニービルやソニーストアという独自の販売ルートも持つソニーが、なぜ新しいユーザーとの接点となるFirst Flightを立ち上げたのか。ここではどんな新規事業をスタートするのか。新規事業創出部の担当部長である小田島伸至氏に聞いた。


「First Flight」

Eコマースまで担うFirst Flightを立ち上げる意義


新規事業創出部の担当部長である小田島伸至氏

--7月1日のサイトオープンから現在までの反響はいかがですか。

 まずまずです。First Flightの取り組みは社内的にもほぼ同じタイミングで周知しましたが、社内からもポジティブな声を受け取っています。サイト上では、プロダクトに関する声を掲載していますが、かなりポジティブなコメントがついているので、元気づけられる社員も多いですね。

--First Flightをスタートしたきっかけを教えて下さい。

 今までにない新しいプロダクトを作りたいと思ったときに、開発チームのメンバーは「これはいい。本当にほしい」と感じている商品でも、ユーザーの方からみて本当にほしいものなのか、自分たちのひとりよがりではないのか、と感じることがあります。

 もちろん開発の要所要所でヒアリングは実施しますが、今までは限られたヒアリングでしか、ユーザーの方の意見を聞く機会がありませんでした。しかし、よくよく見渡してみると、クラウドファンディングというダイレクトなマーケティングツールがあって、2014年に一度使ってみたら、非常にいい反応が得られました。

 実際「FES Watch」は、こんな時計があったら面白いと考えて開発を進めていましたが、一方で「これは本当にみんながほしいと感じてくれるのか」と不安に感じる部分もあって、クラウドファンディングを実施しました。そこで、ものすごい勢いで「ほしい」と言ってくださる方がいることがわかり、開発メンバーの言っていることが正しかったのだなと実感できました。

 このように、一度世に問うて見ることで、後押しや支援がしやすくなり、事業化しやすい環境を整えられます。

--クラウドファンディングだけでしたら、既存のサービスを使ってもできますが。

 ただ、既存のクラウドファンディングですと、成立した時点でお客様とのやりとりがなくなってしまいます。成立後も開発は続きますが、その間のコミュニケーションがしづらいと感じました。ユーザーの方からも成立から商品が届くまでの間、何をやっているのかわからないという声もあり、それならば、その部分を“見える化”しようと考えたのがFirst Flightです。

 よくよく考えると、クラウドファンディングが成立して販売するのであれば、その後に販売する場所も必要だと思い、Eコマースまでできるようにしました。

--直販という意味ではソニーストアという選択肢もあったのではないでしょうか。

 既存の販路よりも、ユーザーの方と直接つながるオンラインコマースを持ちたかったのです。またネットでモノを買う時代になっているという認識も強くありましたから、その場所も確保したいと考えました。

 ソニーストアも同様の条件はそろっているのですが、すでに「Walkman」「BRAVIA」など名の知られたソニー製品を数多く扱っています。 一方First Flightで取り扱うのは、ソニーという先入観なく、「こんな商品が欲しかった」と感じていただけるプロダクトかどうか、という段階のもの。なによりも商品を前面に出した形で見ていただけるように、専用の場所を用意しました。

 もちろん、将来的にはソニーのプロダクトとして取り組んでいくものも出てくるでしょう。しかし現在取り扱っているのは、ソニーのイメージとは異なるものであることが多いと考えています。

 Fes Watchは「ファッションとデジタル」をコンセプトにした時計ですが、ソニーで時計というと、どうしてもスマートウォッチのようなものを想像してしまうと思います。しかしFes Watchの開発チームがやりたいのは、まったく別の方向性。スマートウォッチ的なものではなく、ファッション業界に近いところに位置づけたほうがお客様に手にとっていただきやすいのではないかと考えています。

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