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強要した認識もない--東芝、“不適切会計”で社長など取締役8人が辞任

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 東芝は、7月21日午後5時から、東京・芝浦の本社で取締役代表執行役社長の田中久雄氏が会見し、同日付けで辞任したことを発表した。

 7月22日付けで、取締役会長の室町正志氏が暫定的に代表執行役社長を兼務し、執行役上席常務の牛尾文昭氏が代表執行役上席常務に就任して日常の業務を執行。社外取締役の伊丹敬之氏を監査委員会長に選定した。

 田中氏のほか、相談役の西田厚聰氏と取締役副会長の佐々木則夫氏も同時に辞任を発表。取締役代表執行役副社長の下光秀二郎氏、取締役代表執行役副社長の深串方彦氏、取締役代表執行役副社長の小林清志氏、取締役代表執行役副社長の真崎俊雄氏、取締役監査委員会委員長の久保誠氏がすべての役職を辞任。取締役代表執行役専務の前田恵造氏が取締役代表執行役の役職を辞任した。

会見で頭を下げる東芝経営陣
会見で頭を下げる東芝経営陣

 田中氏は、「第三者委員会から2008~2014年度第3四半期(2014年10~12月)に税引前損益で1500億円を超える修正が必要であり、今回の不適切な会計処理が経営幹部の関与を含み、組織的に実行されたとの指摘を受けた。適切な会計処理に向けた意識の欠如、当期利益至上主義、目標必達のプレッシャーなどが認定された。こうした事態となったことを厳粛に受け止め、株主をはじめとするすべてのステイクホルダーに対して、心よりお詫びを申し上げる」として、約15秒近く頭を下げた。

 また「本件に関わる重大な責任は、私をはじめとする経営陣にある。第三者委員会からの指摘を厳粛に受け止め、その経営責任を明らかにするため、本日をもって取締役と代表執行役社長を辞任する。私は辞任するが、会社としての新たな体制を早期に構築し、信頼回復に向けて全力を尽くしていくので、当社への支援を賜りたい」と語った。

「利益至上主義は悪いことではない」

 質疑応答では、「第三者委員会には、多大な時間とリソースを使っていただき、膨大な資料を閲覧し、多くのインタビューなど精力的に調査していただいた。その活動に改めて敬意を表したい。内容を真摯に受け止め、今後の対応を図りたい」と説明した。続けて「第三者委員会の調査結果に対してきちんと対応するため、また、経営刷新委員会の対策のために、大幅な経営陣の刷新が必要だと認識をした。室町会長兼社長のもと、第三者委員会や社外の専門家の意見を聞きながら、新しい東芝を構築をしていってもらいたい」とした。

 東芝は利益をどう考えていたのかという質問に対して、「利益のみならず、企業が経営していく中で利益至上主義は悪いことではない。だが、売り上げや利益を拡大し、雇用を守り、事業拡大を目指す中で最も重要なのは豊かな社会への貢献である。豊かな社会への貢献は、経営理念のひとつでもある。これを継続的に持続させるためには利益は大変重要である。また、株主、投資家に対して、投資に見合うお返しをすることが大切である。しかし、利益が捻出される過程で不適切な会計処理による利益であってはならない。大前提は適正かつ厳正な会計処理である。それがずれていた」と答えた。

田中久雄氏
7月21日付で取締役 代表執行役社長を辞任した田中久雄氏

 田中氏は「第三者委員会の報告を精査した上で、事業としての原因を考えていかなくてはならない。幅広い事業すべてが収益率が高く、競争力があればいいが、中には厳しい事業もある。今、収益率が良くても、将来にわたって高い収益率になるとはいえない。高い競争力、成長性について考えていかなくてはならないなかで、そうしたことが不適切な会計の原因であったかどうかをきちんと検討していく必要がある」との見方を示した。

 「今回の事案とは関係なく、課題事業、競争力の低い事業については、会計処理とは関係なく、ポートフォリオの変革などに継続的に考えていかなくてはならない。経営陣は、遵法、コンプライアンス遵守、適正な会計処理が大前提である。そこで適正な利益をあげ、事業を拡大する。プレッシャーがあるから、不適正な会計をしてもいいと思うような環境はなかったと思っているが、そうした気持ちが少しでもあったことが今回の原因であれば、大きく反省をしなくてはならない。従業員には罪がない。経営陣がきちんと襟を正さなくてはならない」(田中氏)

 田中氏はまた、「プレッシャーを与える指示をしたという認識はない。経営陣が利益をあげるように不適切な会計を強要した認識もない」と、第三者委員会が報告書で指摘されている田中氏が不適切な会計処理を強要したということについては否定した。だが、「第三者委員会から指摘されている部分については、報告を真摯に受け止めて、経営を刷新し、経営の中に再発防止を図っていかなくてはならない」とした。

 報告書では、「社内で“チャレンジ”という言葉を使い、プレッシャーを与えた」という記述もあったが、「目標を掲げるということは決して悪いことではない。それが実現可能なレベルなのか、実現が不可能なレベルなのか。そのレベルについても、受け手の解釈、認識に差があるのは事実。私自身はチャレンジという言葉は使ったことはない。必達目標値という言葉を使っていた」と説明した。

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