Googleは、「Gmail」の受信トレイに迷惑メールが振り分けられる可能性は平均0.1%未満であり、一方で必要なメールが迷惑メールフォルダに振り分けられる可能性は0.05%にも満たないと述べている。
Googleによると、人工ニューラルネットワーク(神経回路網)を利用して膨大な数の受信メールを取捨選択し、不要なメッセージやフィッシング攻撃を除去することで、この数字を実現できたという。
Googleがスパムの除去にあらゆる手を尽くしていなければ、Gmailは利用に耐えるものではないだろう。セキュリティ企業のKaspersky Labによると、同社が2015年第1四半期にフィルタリングしたすべてのメールのうち、59.2%はスパムだったという。スパムの送信者たちは、「.work」や「.science」など新しく利用可能になったドメインをいち早く利用してスパムフィルタをかいくぐり、広告やマルウェアを配布していた。
Googleは、Gmailの公開当初から機械学習技術を用いてスパムフィルタを改良している。9億人のユーザーが、「迷惑メールではない」ボタンや「スパムを報告」機能を使って不要なメッセージの報告をしていることがこれに寄与している。Googleが米国時間7月9日のブログ記事で指摘しているように、ユーザーはそれでもなお「迷惑メールではない」ボタンをクリックしなければならない場合があり、迷惑メールフォルダの中を探すと、必要なメールが迷惑メールに分類されているのが見つかることがある。そうしたメールには、たとえば銀行から送られてくる毎月の利用明細などがある。
こういった問題に対処するため、Googleは「Postmaster Tools」という名称の新しいシステムをリリースした。これによりメールを大量に送信する企業は、配信エラー、迷惑メールの報告、評判に関するデータを分析できるようになる。この診断ツールセットは企業向けだが、Googleによると、Gmailの個人ユーザーにもメリットがあり、「もうゴミ箱あさりをしなくて済む」はずだという。
これらの新ツールと併せて、Googleは、「Google Search」や「Google Now」などの製品に搭載している人工ニューラルネットワーク技術が、「きわめて巧妙なスパム」に対処する上でいかに役立っているかをいくらか明らかにしている。
Googleは、同社のシステムがフィッシングメールを検出できる能力について具体的な統計値を一切提供していないが、メールのなりすましを一掃するにはかつてないほど優れた効果を発揮すると述べている。
Googleは、「新たな機械学習シグナルによって、Gmailは、メッセージが実際に送信者から送られたものかどうかを把握し、偽メールを食い止めておけるようになった」と述べている。
また、Googleはスパムフィルタに機械学習技術を用いて、Gmailの各ユーザーにとっての好ましい使い方を理解しようとしている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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