MuscleSoundは、注射針を使わずに非常にシンプルな方法で、体内のエネルギーレベルをフィードバックする。ふくらはぎの筋肉などにデバイスを当てれば、6秒以内にグリコーゲンについてのデータを受け取ることができる。同時に、個人に合わせた炭水化物の補給方法に関するアウトラインをフィードバックして、次の試合や練習までにどのようにエネルギーをリカバーすれば良いか教えてくれる。
MuscleSoundは、超音波を使って筋肉中の画像を15秒ごとに投影する仕組みだ。コーチはその図を用いてアスリートに3つのフィードバックをすることができる。1つ目はアスリートの栄養補給の必要性だ。それからパフォーマンスアビリティ。またリカバリレベルがどこまで戻っているか。これらの情報をアスリートにフィードバックした上で共に次のステップを踏んでいくことができる。
試合前と試合後に分けて計測することで、一定の運動でどれだけグリコーゲンが失われるのかも分析できるようになった。5回ほど計測すれば、アスリートのグリコーゲン貯蔵の限界量を導き出すことも可能だ。トレーナーたちは、それに応じた栄養補給プランを考えアスリートの健康に合わせた指導をしていく。
「MuscleSoundを使ってさまざまなフィードバックが可能になったおかげで、筋肉や靭帯などの軟部組織損傷の予防に対するアプローチの幅が広がった」と、MuscleSoundの関係者は語る。
また、別の関係者は「MuscleSoundを取り入れることで得られる結果はシンプルだ。内輪の報告だが、シーズンあたり20件だった軟部組織損傷が2シーズン通して3件まで減少している。アスリート1人あたり2000万ドルの給料が支払われていることを考えれば非常に大きな功績だといえる」と語った。
ケガ自体にも大きな費用がかかる。ただ、主要選手が出場しないことによる視聴率の低下や、観客動員数の減少にともなうチケット売上の損害を考えれば、傷害予防のもたらす効果は甚大だ。
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渡邊拓貴(わたなべ ひろき)
2012年カリフォルニア州立大学運動生理学科卒業。早稲田大学スポーツ科学部4回生。専攻はアスレチックトレーニング。ロンドンオリンピックでは障害馬術競技選手の専属トレーナーとして帯同する。以降トレーナーとして各地で活動。
スポーツがテクノロジにもたらすイノベーションをテーマに専門メディア「SportTechBros」を創設。
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