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競争力向上を目指すべき--過去から考えるワークスタイル変革の在り方

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 6月17~18日に「Google Atmosphere Tokyo 2015」が開催。企業や組織のリーダーを対象にテクノロジを活用した新しい働き方を探るイベントだが、「企業情報視点からの『ワークスタイル変革』再考」と題して、企業コンサルタントの立場から講演したのが、プライスウォーターハウスクーパースでディレクターを務める藤田泰嗣氏だ。

 1990年代初頭にグループウェアが登場して以来、絶えず唱えられながらも突破できないワークスタイルの変革の壁について、企業情報を中心にコンサルティングしてきたなかでの気付きや考察を解説した。

 藤田氏は、これまでワークスタイルと呼ばれてきたもののほとんどが外的環境の変化によってもたらされてきたと述べる。「まずは1978年に労働基準法が改正になり、フレックスタイム制が導入されて以降、働き方が大いに変わり、次に1990年代初頭のグループウェアの登場によって、コミュニケーション方法が変わってきた。2000年代初頭になると、“ダイバーシティ”や“インクルージョン”という言葉に代表されるような変革が起きた」と藤田氏。

 「そして今われわれがいるステージがモバイルデバイスの登場による時間や場所からの解放。さらにそれをどういうふうに使うか、違う次元にいる。コミュニケーションも一方向ではなく、一対複数、複数対複数というふうに変わり、それをどうするかというステージに来ている。働き方の変化の背景にはこういった外部からの変化がきっかけになっている」

 一方、こうした働き方の変革が今後どのようになっていくかについては、2020年までにインパクトあるトレンドが複数起こり得ると考えているとし、次のように語る。

 「テクノロジが進化するというのが当然のこととして、外部環境として例えば人口構成が変わっていく。特に日本は少子高齢化問題を抱え、どのように生産性を上げていくかということがすでに問題になりつつある。これから5年、10年の間に確実に考えていかなければならないこととして、これはインパクトあるトレンドとなってくる」

 これまでのワークスタイル変革が歴史上どのように変わっていったかの流れについての分析は次の通りだ。

 「当初、フレックスタイム制というのは、個人の働き方を変えていくものだった。つまり、個人の時間をどのように使っていくかということで、利便性の向上というのがスタートライン。次に、グループウェアが現われることによって、会社や組織力を上げていくという方向に流れが変わってきた。そして、多くの企業がこの時点から、さらに先に進んでいこうとしているのが現状だと認識している」

 そこで、藤田氏の考える次のワークスタイル変革のステージは“事業競争力の向上”だ。「事業競争力というのは、顧客あるいはビジネスパートナーや社外の人々とのやりとりをいかにしてやっていくかというのが求められていくことの1つになるだろう」と藤田氏。

 藤田氏によると、ワークスタイルの変革において、事業競争力を目的とした取り組みをしている企業はもちろんすでにある。しかし、そのやり方は「新しいテクノロジや制度を入れるということだけではなく、単体の施策だけでなく、複合的に並行して有機的にその効果をロングテールで長々と続けていくことが必要。ただ施策を導入すれば利益が上がるというものではもはやなくなっている」とし、従来とは違ったかたちが求められると助言する。

 具体的には、例えば会議での改革は、事業競争力を高くするために、議事録は会議が終わった途端にもうすでに作成されているといった状況が望まれるとする。

 「議事録を共有して、その場でリアルタイムで作っていくというやり方を仕組み上に乗せてしまうことで、議事録にかかっていた時間や発行するまでの時間を強制的に短くできる。時間を短くするというのが今後の大きなキーワードになってきている」

 さらに、事業競争力を向上する際には個別の部分的な対応では不十分だという。特に海外展開を考えるにあたって一番要求されるのは総合力だ。

 「海外進出するにあたって、人事制度や総務というのは絶対に手を入れなければならない。仕事をするためのテクノロジや基盤というのを準備する必要がある。国内だけでは個々別々の施策でなんとかなっていても、IT施策、制度、設備の施策というのをいろいろ組み合わせてやらなければならない」

 より具体的には、「例えば設備周りでは、テレビ会議を設定したら時差で海外と会議ができないという話は割とよくある話。ITの施策では、メールの基盤を用意して確かにやり取りができるものの、セキュリティが社内のように確保できなかったり、かと言って強固にしたら使い物にならなくなったとか。事業部側からIT部門になんとかしてほしいと言っても『これがルールだから』となってしまうと、事業競争力どころではない。グローバルでは、やってみたら失敗だったというのはもはやできなくなっている」と解説した。

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