モバイルデバイスはあらゆる進化を遂げてきたが、まだ比較的古い技術によって制約を受けている。その技術とは、それらモバイルデバイスで通常1日ほどしか持たないバッテリだ。
だが、サムスンの研究部門は、エネルギー密度(単位体積当たりに蓄えることのできる電力量)を現行バッテリの1.8倍に高めることで、駆動時間を2倍近くに引き上げる方法を見つけた可能性がある。
Neowinが米国時間6月26日に伝えたところによると、サムスンの研究チームは実験的な取り組みの結果を公表し、この研究成果をどのように達成したかを説明したという。
サムスンのチームは、陰極の素材として黒鉛の代わりにシリコンを使った。同様の取り組みでは多く用いられてきた手法だ。ただ、この手法には、バッテリの充電中や放電中にシリコンが膨張したり収縮したりするという問題点がある。
これに対処するため、サムスンのチームは、シリコンの表面にグラフェンのセルを直接成長させ、シリコンの膨張に対応できるプロセスを実現したとして、次のように述べている。
シリコン表面に固着したグラフェンの層は、隣接するグラフェンの層とすべり合うことによって、シリコンの体積膨張に対応する。商用のリチウムコバルト酸化物陽極と組み合わせると、炭化ケイ素を含まないグラフェンのコーティングによって、セル全体の体積エネルギー密度が、最初のサイクルでは972Wh/L、200回目のサイクルでは700Wh/Lと、現行の商用リチウムイオンバッテリの1.5~1.8倍になる。
この技術は将来有望のように思えるが、研究プロジェクトにすぎない点に注意してほしい。すぐに商用化されるわけではないため、スマートフォンやタブレット、スマートウォッチを毎晩充電するという生活が当面の間は続くだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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