グーグルは6月17~18日に東京・六本木の六本木ヒルズでイベント「Google Atmosphere Tokyo 2015」を開催。日本では4回目となる今回のAtmosphereは、「働き方のこれからが、ここで見つかる」をテーマに企業や組織のリーダーを対象にしている。
同社はイベントの性格を「モバイル市場の成熟、クラウドの普及、ネットワークの新たな活用など、テクノロジの発展とともに、私たちの働き方は変わりつつあるなかで、個人と組織の関係性、子育てしながら働く女性を支える環境、地方における経済活性などによる、ともに働くことが大切になってきている。基調講演や展示、製品のハンズオンなどを通して、これからの企業や組織の働き方の可能性を一緒に考えるものにしたい」と説明している。
グーグルのGoogle for Work Japanマーケティング統括部長の根来香里氏は、「グーグルジャパンが六本木ヒルズに入居してから約5年になる。ここから、日本のみなさまにさまざまなサービスを提供してきた。グーグルカフェもここからスタートし、東日本大震災の復興支援もここから行った。グーグルにとって、ホームグランドとなる六本木ヒルズから新たな働き方を提案したい」とした。
開催初日の基調講演では、Google for Work担当プレジデントのAmit Singh氏が「イノベーションを起こすメカニズムを解剖する」をテーマに講演。Singh氏は「いまの世の中では、急激な成長がみられている」と前置きし、Snapchatが急激な成長を遂げ、1日に1億人ずつユーザーが増加していること、それを支える技術進化が激しく、ムーアの法則では2年で2倍の成長を遂げ、指数関数的な進化を遂げていることを示した。
こうした技術進化はさまざまな領域にも広がり、今年夏には自動運転車が登場することを紹介。バーチャルリアリティ、ウェアブルテクノロジ、IoT、スマートフォンのインテリジェント化といった動きがさらに進展することに触れ、「テクノロジで世界は狭くなっており、それにより仕事の仕方が変わっている。ビジネスが変化するだけでなく、従業員の意識も変わってくる」と主張した。
Singh氏は「ムーアの法則は、なぜIT予算には適用されないのか」と語り、「IT投資は増えているのに、企業から生み出される価値が少なくなっている。それはレカジーシステムの問題である。いまでも、IT投資の80%がレガシーシステムの維持に費やされている」と現状を解説した。
「学生はインターネットで勉強するが、就職するとビジネスの場では昔の仕組みを利用している。当社は、仕事に最高のGoogleを提供したいと考えてきた。それを実現するのがGoogle for Work。これによって、リアルタイムの会社になることができる。指数関数的に進化した技術を企業に持ち込むことで、さらに成長することができる」(Singh氏)
Singh氏はまた、「Google Apps for Workでは、何百人というエンジニアがサードパーティ製のアプリを含めて、セキュリティに対応し、アプリの進化に取り組んでいる。ユーザーにフォーカスしてきたのが特徴だ。少しずつビジネスモデルを変えるのではなく、一気に10倍の進化を遂げることに取り組んでいる。そして、実験精神のあるカルチャーを築くことを支援している。新たなことをするのにお金はいらない」と強調。「Googleは日本市場に力を入れている。日本のデジタルカルチャーを牽引していきたい」と語った。
続いて、「分析の力、イノベーションの力、PwCとGoogleが牽引する、業界を超えた変革」をテーマにPricewaterhouseCoopers(PwC)のパートナーであるChristopher O'Hara氏が登壇。Googleのグローバル Apps for Workでセールスディレクターを務めるRich Rao氏が聞き役として話を進めた。昨年、両社は戦略的提携を発表している。
PwCのO'Hara氏は、「いま世界では、人口構造の変化、世界経済力のシフト、急激な都市化の進行、気候変動と資源不足、テクノロジの進歩という5つのメガトレンドがある。新興国市場は、2050年に先進国の市場を大きく上回ることになる。これは恐れることではなく、チャンスとみることができる」と提言した。
続けてO'Hara氏は「高齢化の進展や都市への集中が進み、医療の問題、教育の問題などにも対応しなくてはならない。気候変動の問題、資源の問題への対応も重要である。そのなかで技術が進歩し、2020年には500億台のデバイスがつながる世界が訪れることになる。こうした技術を活用しなくてはならない。PwCはそのためにGoogleと提携した」と説明した。
現在、PwCでは、Google Appsを4万人で採用し、業務基盤をクラウド環境へと移行しているという。
「PwCは、3年前から市場で成功するための最適な人とテクノロジの組み合わせは何かということを考えてきた。Googleには“ドッグフード”という言葉がある。自ら活用して、それを提案することを意味するが、これはPwCも同じだ。現在、PwCは21万人の体制で161カ国で事業を展開している。平均年齢は27歳であり、デジタルで育った人材である。イノベーションやアイデアを生みやすい環境がある。人とテクノロジの組み合わせですべてを刷新しなくてはならない。これと同じことをわれわれの顧客も考えるべきである」(O'Hara氏)
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス