7月30日および31日、企業や組織のリーダーを対象としたGoogleの基幹イベント「Google Atmosphere Tokyo 2014」が開催された。今回は「働き方の、これから。 - Transforming Work」をテーマに多くのセッションが実施された。ここでは、グーグルのエンタープライズ部門 プロダクトマーケティングディレクターであるジェレミー・クーパー氏、および同セールスエンジニアである泉篤彦氏による「Drive for Work:ファイル共有の新しいソリューション」の内容をお届けする。
クーパー氏は、「このイベントが『Google I/O』に次ぐ大きなイベントに発展したことを喜んでいる」と述べ、Googleの取り組みが市場に大きく貢献していることを強調した。特に企業活動において“モバイルファースト”が重要になっており、世界の社員は複数台のデバイスを使っている。この現状でパソコン限定、タブレット限定のコンテンツではダメで、シームレスにつながる環境が必要であるとした。
そしてGoogleは、コンテンツとデバイスを完全に切り離すことに成功し、ユーザーはデバイスを自由に選べるようになり、チームのスタッフが世界中に分散していてもデータを保存し、共有し、共同作業することを可能にした。競合は存在するが、Googleはインターネットの圧倒的なインフラをはじめ、スケールの容易性や信頼性の高さといったメリットがあり、さらに無制限のストレージや安価なプロダクトがあると述べた。
Googleのサービスは、クラウドにコンテンツを格納し、どのような形式のファイルでも共有して、いろいろなデバイスでシンプルにアクセスできる。またGoogle Appsはモバイルファーストに作成されただけでなく、コンシューマファーストに作った。1億9千万の人達が活発に利用している理由として、わかりやすく採用しやすいことと、コンシューマの要件や規定に答えられる柔軟なサービスを提供していることを挙げた。
続いて泉氏が登壇、Google Appsについての詳細を紹介した。多くの企業がファイル共有に興味を示しており、ファイルストレージサービスが急成長している。企業はメールやカレンダーなどの移行が複雑で難しいと考え、ファイル共有が新たなクラウド化のエントリーポイントになりつつあるという。
GoogleはGoogle Appsの開発に8年かけており、ファイル共有では後発となる。しかし、ドライブやデータセンター、インフラに自信があり、また、ファイルをアップロードしたときには自動的に2つのバックアップが作成されるなど、信頼性も非常に高い。価格面でも、同等のサービスでBoxは月額1800円、Dropboxは月額1500円だが、Google Appsはビデオ会議など多くの機能を標準で搭載して月額1200円と、大きなアドバンテージがあるとした。実際に多くのユーザーに安心して利用していただいており、8年の歳月は無駄ではなかったと述べた。
続いて泉氏は、Google Apps for BusinessとDrive for Work(Apps Unlimited)の違いについて紹介した。Apps Unlimitedでは保存容量が30Gバイトから無制限となり、eDiscoveryに対応するアーカイブVaultを搭載、最大ファイルサイズは1Tバイトから5Tバイト、監査と利用状況のAPI、管理コンソール機能の拡張が行われている。APIでは、Active DirectoryやLDAPなどのユーザー情報と裏でシンクし、ドライブの共有範囲を細かく設定できるようになった(2014年内に実装予定)。
Vaultでは、これまでメールだけであったアーカイブをチャットやファイル共有に拡張した。メールは送受信が行われなくてもアーカイブすることが可能となり、内部社員がデータを持ち出す際にメールを消去して痕跡を消そうとしても、Vaultにログが残るため確認できるようになった。泉氏はデモを行い、証跡としてのデータ抽出を行った。特に米国の場合は、企業が訴えられた場合はデータの提出ができないと負けてしまうので、それに対応したという。
eDiscovery対応では、弁護士などのアカウントを作成して「共有」ボタンを押すだけで、弁護士が直接データを検索、抽出できるようにした。検索範囲が指定できるので、弁護士に関係のないデータまで見られることもない。さらに、データセンター間を含むすべてのデータを暗号化している。ファイルを外部と共有したいときには、ファイルのアドレスをメールで送ることでファイルを共有できるので、安全に活用できるサービスであるとした。
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