また同サービスでは、ユーザーが普段聴く音楽に基づくアルゴリズムと、Appleが言うところの音楽エキスパートの意見によって生成されたレコメンデーションを利用して、簡単に音楽を見つけることができる。人間がキュレーションしたプレイリストとレコメンデーション機能が、Apple Musicの特長であり、カリフォルニア州クパチーノを拠点とする同社が基調講演で強調していた点である。ラジオDJの導入といった「音楽エキスパート」の人間的な部分が、Apple Musicを、また1つ新たに追加されただけの音楽アプリではなく、コミュニティーのように感じさせる、賢明な要素となっている。
Appleが音楽ストリーミング分野への参入を図るのは意外ではない。方向性が明確には定まっていなかったBeats Musicサービスを2014年に買収した同社はこれまで、その進捗状況については口を閉ざしてきた。音楽を購入したいと考えるユーザー向けにiTunesは提供され続けるだろうが、音楽分野においてAppleが新たに目を付けたのは、ストリーミング関連のサービスで、SpotifyやPandoraといった人気サービスに対抗することだった。しかし、一部の競合サービスとは異なり、Apple Musicでは、広告収入型の無料オプションは提供されない。
ますます多くのサービスがひしめき合う音楽ストリーミング分野への新規参入は、決して容易とはいえない。Jay Zが所有することで有名な新サービス「Tidal」も、独占コンテンツの提供という似たような約束を掲げ、音楽を提供するアーティストに正当な対価を支払うことを前面に押し出して、2015年に提供開始された。しかし、19.99ドルという高い月額料金とお粗末な性能に不満が寄せられており、前途多難な滑り出しとなっている。一方Appleには、堅牢なエコシステムと大規模なユーザー数というメリットがあるが、同社の音楽ストリーミングサービスがTidalと同じような運命をたどるかどうかについては、今後の動向を見守る必要があるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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