「アニソン特化はリスク」を覆した差別化とこだわり--TDKイヤホン「neo:n」開発者に聞く - (page 3)

佐藤和也 (編集部)2015年06月18日 09時00分
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社内外の逆風も3~4カ月分の販売数量を数週間で出荷。次のシリーズも視野

 開発の苦労点について聞くと、製品開発そのものよりも社内外の偏見と反対の意見だったと振り返る。下山氏は、アニソンという切り口はすごくわかりやすい上に潜在的なニーズがある一方で、ニッチすぎる“オタク分野”としてひとくくりされて敬遠されているところがあり、アニメファンやアニソンファンがいるとはわかっていても、それが統計的な数値として出ていないものであるため、他社でも踏み出せなかったのではと推察する。もっとも社内的な逆風も想定しており、製品開発においても社内での意見交換はあまりせず秘密裏に近い形で進めていったと振り返る。

 「紙資料で説明してもインパクトがないので、社内でのプレゼン会ではパワーポイントでかなり手のこんだ映像を作り、テクノ系サウンドのBGMを付けて流したが、ほとんどの社員はあぜんとするだけ(笑)。営業会議でもアニソンを打ち出すことには否定的な感じだった。でもその世界を知らない人にはいくら説明しても理解できないもの。共感できる人じゃないと話が通じないのはわかっていた」(下山氏)

 音楽配信においてはアニソンが上位にきている状況で、特にハイレゾ音源は「アニソン=ハイレゾ」といってもいい状態。さらにはカラオケでうたわれる曲のランキングでも、10代の若年層では上位のほとんどがアニソンかボーカロイド楽曲で占められているといった資料などをもとに、ニーズがあることを説明。社内的には製品化が通った形だが、実際に商談ではバイヤーから「アニソン特化なら扱えない」という意見もあり、あくまで新しい音のトレンドをうたう形で、アニソン特化というフレーズは特定の流通をのぞき控えめにしていたという。

 いざneo:nが発表されると、下山氏の狙いは的中。アニソン特化のキャッチーさもあってネットを中心に話題となった。そして4月13日に発売されると、同社が想定した3~4カ月分の販売数量を数週間で出荷するほど好調で、一部モデルで品薄状態が続いてしまったほどの売れ行きだという。

  • 特に売れ行きがいいという、neo:n03のブラック

 ちなみに3つのシリーズのなかではneo:n03の売れ行きがよく、なかでもブラックのモデルが一番売れているという。下山氏はブラックのカラーリングが、一部のメディアで「初音ミクっぽい」と紹介されたからではないかと推察している。

 「市場が見えない中、何度もシミュレーションして、通常の新商品よりも多めの製品を用意していたが、それを上回った。扱えないと言っていたバイヤーさんも、“今話題のイヤホン”という売り込みをしてくれるようになった」(下山氏)

 今後については、もともとシリーズのラインアップ追加は企画しており、デザインも検討していたという。そして売れ行きが好調ということもあって、本腰を入れて取り組むことを明かした。前述のようにアニソンにはさまざまな楽曲ジャンルがあるほか、ハイレゾ対応などさまざまな切り口があり、そこに独特のデザインを掛け合わせる形で展開できるものを提供したいという。

 「今回はアニソンをひとくくりとしたが、楽曲にはさまざまなジャンルがありバラエティに富んでいる。そしてジャンルにフィーチャしたイヤホンは、音作りのノウハウを持っている。そこに未来感のあるデザインと組み合わせると存在感を出せる。業界のパイオニアとして、このシリーズはきちんと市場に定着させていきたい」(下山氏)

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