「アニソン特化はリスク」を覆した差別化とこだわり--TDKイヤホン「neo:n」開発者に聞く - (page 2)

佐藤和也 (編集部)2015年06月18日 09時00分
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アニソンの多くは「音の情報過多」。音の情報を整理したイヤホン

 アニソンにもさまざまなジャンルの楽曲があり、下山氏は「たとえば女性ボーカル重視型、ロックサウンド、打ち込みテクノ系の3つがあったとして、フィーチャしている音の部分は違う」と、全てに当てはまるものではないと前置きしながらも、さまざまなアニソンを聴いて研究したところ、“音の情報がかなり多い”と感じたという。全体的な傾向として中域に情報量が多いのが特徴で、アニソンに求められるイヤホンは、入ってくる音の情報をきちんと並べ替えて伝える“情報整理”が大事だと考えた。

 「テンポが速いうえに、アニメのテーマにあわせて激しい情熱を表すロックテイストのギター音と、繊細さを表現するストリングスも入ってくる。このあたりの中域の音が、ある瞬間に同じぐらいの周波数帯に重ねて鳴っているものが多い。さらに歌唱するアーティストが女性声優であったり、ボーカロイドのボイスとなると甲高い声のボーカルになる。アニソンは甲高い声をちゃんと聴かせてあげさせなくてはいけない一方で、中域の音をおさえられてないと、音の情報が入りすぎる状態になる」(下山氏)

 加えてドラムやベースなどの低域の音は波長が長く、テンポの速い曲であると前の音が消えきらないうちにかぶる状況になるという。低域でもたついて、中域で情報が多く、高域でキーンとする……。そういった特徴を持つアニソンを、標準的な音作りにあわせたイヤホンでは聴きづらい問題が出てくるという。

 「テレビでアニメを観ながら聴く音からは気付きにくいが、アニソンのCDをいわゆるフロアタイプのステレオスピーカーで再生すると、一曲最後まで聴けないぐらい情報が多く疲れる。アニソンを心地よく聴くためには、それを意識した音づくりが必要だと感じた」(下山氏)

 そのため、低域のキレを保ちつつ、中域は押さえ気味に、高域はより高い部分を持ち上げるという音のチューニングを施した形となっている。もっとも下山氏によれば、前述のように日本はテンポの速い曲が好まれていることにあわせて、一般的に販売されているイヤホンの音作りはもともとその傾向となっているという。neo:nシリーズは、上げ下げのところを際立たせたものにしている。

アニソンにあわせた「neo:nチューン」
アニソンにあわせた「neo:nチューン」

 音のチューニングについて、最終的にはさまざまなジャンルのアニソンを聴いて調整を施したが、開発途中の施策段階では、それぞれに特徴を持つ楽曲で確認していったと振り返る。

 「試作ができたときにまず聴くのは、藍井エイルさんの『IGNITE』(「ソードアート・オンラインII」主題歌)で、ボーカルがきちんと出ているか、そしてオーケストラが入るときにきれいな音が出るかを確認。そして雨宮天(あまみやそら)さんの『Skyreach』(「アカメが斬る!」主題歌)は、ボーカルとともにギター音が特徴的なのでそこを確認。そして、UNISON SQUARE GARDENの『桜のあと(all quartets lead to the?)』(「夜桜四重奏~ハナノウタ」主題歌)。彼らはロックサウンドの中でも特にドラムのリズムにキレがあるかどうか。さらにKMM団の『ウィッチ☆アクティビティ』(「ウィッチクラフトワークス」エンディングテーマ)とじんせーずの『人生☆キミ色』(「人生」エンディングテーマ)。このあたりはテンポの速さと打ち込み系のリファレンスにした」(下山氏)

世界観表現のために発売を遅らせてでもこだわった、カプセル型のパッケージ

 今回のneo:nはデザインと仕様が異なる3つのシリーズで展開。3つにしたのは、キーワードとしている未来、ヒーロー、ロボットを表現するためにバリエーションがほしかったことと、イヤホンにおける価格帯のボリュームゾーンは1500円から3000円であり、そのなかでも一番の売れ筋となっているのが1980円であるため、価格帯の上限下限と売れ筋にあわせたものにしたという。

 低価格帯のneo:n01は女性や中学生ぐらいのユーザーを意識した、丸みのあるどこかしらかわいらしさもあるデザインに。価格帯が上がるneo:n02やneo:n03はヒーローやSFを感じさせるかっこよさを押し出したデザインにした。

  • 特にデザインにこだわったというneo:n02。ケーブルがポイント

 なかでもneo:n02は、その価格帯にある他社品はぱっと見で違いがわかりにくほどに似通った商品が多いことから、それらと差別化するためデザインにはこだわったという。ケーブルもロボットのように見えるように銀色に編み込んだものに、透けるような色のチューブをかぶせた仕様となっており、このケーブルを自社で展開するのは初めての試みだったとしている。

 パッケージについても長方形が主流となっているなか、カプセルのような独特なデザインとなっている。下山氏は、イヤホン本体の世界観を表現するには店頭にパッケージが並んだ時点で明らかに目立つ存在でないと、目にとまらないであろうという考えがあったという。

 「イヤホンの開発自体は比較的早い段階で終わっており、販売しようと思えば半年ぐらい前にもできた。ただ、パッケージは時間をかけてでも存在感があるものにしたかった。宇宙船のように3次元的なパッケージにするためCADを使って設計した」(下山氏)

 ななめに下がったパッケージはかさばるという意見も主に流通サイドから出たが、neo:n02とneo:n03のパッケージはうまく横に並べられるようにできており、それを説明すると決まって驚かれたという。さらに未来都市のシルエットを描いたバックボードも販促物として用意。サプライズ感を出すことを狙いつつ、非効率ではなく目を引く効果があることを説明すると流通サイドは納得してくれたと語った。

neo:n01(左)のパッケージはコンパクトに、neo:n02とneo:n03のパッケージはうまく横に並べられるようにできている
neo:n01(左)のパッケージはコンパクトに、neo:n02とneo:n03のパッケージはうまく横に並べられるようにできている

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