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「アニソン特化はリスク」を覆した差別化とこだわり--TDKイヤホン「neo:n」開発者に聞く

佐藤和也 (編集部)2015年06月18日 09時00分
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 「アニソン特化はリスクが高い、やめろと言われるほどの勢いだった」――TDK Life on Recordブランドのインナーイヤーヘッドホン(イヤホン)「neo:n」シリーズの商品企画を手がけたイメーションの下山秀一氏は、開発当時の社内の反応をこう振り返った。

 neo:nシリーズは「未来」「ヒーロー」「ロボット」といった、日本人が慣れ親しんだキーワードをコンセプトに、独自の世界観を表現するパッケージやイヤホンのデザイン、さらにアップテンポなリズムや打ち込み系のサウンドなど、新しい音のトレンドとされるアニソンやゲームサウンドに最適化したサウンドチューニングを施している。neo:nという名称は、新しいという意味の「neo」と、「音」の音読みである「オン(on)」を組み合わせたもので、未来感を表現したものとなっている。

 ラウンド型ボディを採用した「neo:n 01 TH-NEC150」(想定税別価格:1580円)、半透明ハウジングの「neo:n 02 TH-NEC200」(同:1980円)、メカニカルなデザインの「neo:n 03 TH-NEC300」(同:2980円)の3シリーズで展開。neo:n01とneo:n02は6色、neo:n03は3色をラインアップしている。

  • 左からneo:n01、neo:n02、neo:n03

 これまでもイヤホンにはスポーツ用やスマートフォン用といった、用途に合わせたタイプのものや、重低音を響かせるタイプなど音楽の特性にあわせたものは発売されているが、アニソンというカルチャーを明確にうたった商品は例がない。社内外ではなかなか理解されない状態だったが、3月末に発表するとネットを中心に反響を呼んだ。そして4月から販売を開始すると想定をはるかに上回る売れ行きで、約2カ月経過した現在でも好調だという。そんなneo:nシリーズ開発の経緯を下山氏に聞いた。

 下山氏は、TDKならびにイメーションでカセットテープやスピーカーなどの商品開発を手がけ、イメーションがTDK Life on Recordブランドで本格的にヘッドホンビジネスを展開するようになった5年前から、ヘッドホンの商品開発を担当している。

きっかけはアニメ好きではなく「楽曲テンポが速い日本の音楽に特化したイヤホン」

  • 下山秀一氏

 今回のneo:nシリーズ開発のきっかけは、一言でいえば差別化。市場に参入した当時は、まだ価格帯が高めのインナーイヤー型のヘッドホンが売れ筋であり、低価格帯のカナル型イヤホンはそこまで主流ではなかったという。そこに参入し少しずつシェアを広げていったが、この先他社でもやっていないような商品を出さないと生き残れないのでは、という危機感が社内的にあったと語る。

 もっともアニソン特化をうたう商品だと、企画者はアニメが好きだから……という理由を思い浮かびそうだが、下山氏はneo:nシリーズ開発前までアニメにはそれほど興味はなく、楽曲としての興味は一部にありつつも最近のアニメはほとんど見ていなかった。そしてneo:n開発のとっかかりとなったのは、「日本の音楽をテーマとしてとりあげること」だったという。

 下山氏によれば、海外におけるイヤホンはスポーツ用やスマホ用としないと売れないが、日本でのスポーツ用やスマホ用イヤホンは、一時期市場を確立しつつも縮小していったとし、根本的に海外と日本とでは市場動向が違うと指摘。そのため、差別化するなら日本向けのものに特化するべきと考えた。そしてもうひとつ、日本の楽曲における“テンポの速さ”に注目した。

 「十数年前に米国に在住していた時期があり、米国のチャート上位の曲はヒップホップやジャズなど、決まった一定のテンポがある。日本では当時、安室奈美恵さんや浜崎あゆみさんの曲がヒットしていた時代で、聴いてみると米国でヒットしている曲よりもテンポが速い。それを十数年前に感じた。日本の音楽をテーマに音作りをするのであれば、そのテンポの速さに注目しなければいけないと、初期段階に思った」(下山氏)

 製品デザインを進めるにあたり、日本らしさを考えるなかで「ロボット」や「ヒーロー」をキーワードとして思いつく。その一方で、下山氏が親しんだ往年のアニメでは古くささもあることから、研究のために最近のアニメを見始めた。そして主題歌を聴いているうちに、近年のアニソンはJ-POPと呼ばれる曲よりもテンポが速いと感じられるものが多く、その傾向をうまくとらえたイヤホンにすることを思いついた。

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