球場での野球観戦を盛り上げてくれる生ビールなどのドリンク類。でも、好きな銘柄の売り子がなかなか近くに回って来ない。ソフトクリームが買いにくい──。そんな不満を解決するサービスが東京ドームで本格スタートした。
対象となるのは、東京ドームで開催される読売ジャイアンツ主催試合のレジェンズシートだ。受付時に先着50名にタブレットを無償で貸し出し、簡単な操作で販売員を呼び出せるというもの。
システムには、ACCESSのBeacon(ビーコン)を用いた位置連動型コンテンツ配信サービスプラットフォーム「ACCESSTM Beacon Framework(ABF)」を採用。約300席あるレジェンズシートのうち、6席に1つの割合でBeaconが取り付けられている。
貸し出すタブレットはソニーモバイルの「Xperia Z Ultra」だ。インストールされた「呼び出しアプリ」と、同社の腕時計型スマートウォッチ「SmartWatch 3」を連携。SmartWatch 3にもACCESSが展開する「売り子さんアプリ」がインストールされており、客がタブレットで注文すると、販売員が身に着けているスマートウォッチに呼び出した客がいる列のエリアと端末に割り振られた番号が表示される。その情報をもとに、客のもとへ販売に行くというしくみだ。支払いは現金で、電子決済などの機能はない。現在、約30名の販売員がSmartWatch 3を身に着けているという。
各受注データはそのままクラウドを通じて管理され、受注処理の効率化だけでなく各販売員のリアルタイムの受注データの可視化により、季節や時間、エリア、販売員ごとの注文動向といったマーケティング分析にも活用できるとしている。
このサービスは、3月から実験的に行ってきた。当初、スマートウォッチに客の席番号を表示していたが、販売員にとっては列の表示のほうがわかりやすく、近くに行って「○番のお客様」と声をかけたほうがスムーズにいくことが分かったという。スマートウォッチへの通知の回数などいくつかの改善を重ね、5月12日から本格的にサービスを開始した。
東京ドームによれば、売上げが大幅に上がるといったことはまだないが、一度使って便利だと分かるとリピーターが多く、また回っている販売員が比較的少ないレモンハイなどのオーダーが高い傾向にあるという。様子を見つつ、今後は販売エリアを広げていければと話す。
システムとしてはAndroidやiOSにも対応でき、今後の状況によっては、来場者が所有するスマートフォンにアプリをインストールし、オーダーできるようにすることも可能だという。
Xperia Z UltraとSmartWatch 3を採用した理由についてACCESSは、「見やすいサイズで防水対応、さらに連携できるスマートウォッチを持っていることからソニーモバイルの製品を選んだ」と説明する。
また、ソニーモバイルによれば、スマートウォッチ以外にメガネ型の端末もラインアップとしてはそろっており、どの端末がベストか今後も検討していきたいとしている。
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