KDDIは5月12日、2014年度(2014年4月~2015年3月)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比5.5%増の4兆5731億4200万円、営業利益は同11.8%増の7412億9800万円、純利益は同32.9%増の4279億3100万円となった。
モバイル通信料収入の増加と、au販売手数料の削減が増益に貢献した。KDDI代表取締役社長の田中孝司氏は、「営業利益は2期連続の2桁成長を達成し、国内のモバイル事業はauモメンタムを持続している。また、新たな成長ステージに向けて、au WALLETやミャンマー(への通信事業の参入)など、国内外で新規事業を推進した1年だった」と評価した。
au純増数は前年同期比5.1%増の110万契約を達成。タブレットの累計販売数も前年と比べて2.5倍の100万台を超えた。固定通信サービスとのセット割である「auスマートバリュー」には、auスマートフォン利用者の約半数が加入しており、未加入者に比べて解約率が低いという。
なお、KDDIの連結子会社で、香港で中国向けのシステムインテグレーション事業を展開するDMXが、2008年と2009年に不適切な会計処理をしていたことが3月末に発表された。これに伴いKDDIの連結財務諸表では、将来発生が見込まれる337億9800万円の特別損失を計上している。5月12日には、原因の究明や再発防止を目的に、外部調査委員会を設置したことを発表した。
2015年度は、マルチデバイス、マルチユース、マルチネットワークからなる「3M戦略」をさらに推進する。これまでは、1人あたりの月間売上高である「ARPU」を指標にしてきたが、今後はタブレットやルータなどのマルチデバイスの収入である「ARPA(Average Revenue per Account)」の拡大を目指すという。
また、「auスマートパス」などのオンラインサービスに加えて、「au損保」や「じぶん銀行」などの金融サービスと、「LUXA」を始めとするコマースサービスを強化することで、“付加価値経済圏”を拡大させるとしている。サービス開始から1年が経ったプリペイド型の電子マネーサービス「au WALLET」は1200万契約を超えたことを明らかにし、「他社が追従しているところをみるとそれなりに認知が高まってきたと思う」(田中氏)と手応えを語った。
すべてのサービスが入り口となる、スマートフォン時代の“中心のないポータル”の構築を目指す「Syn.(シンドット)」については、グルメや旅行、ブログなど、全20のサービス、月間利用者数1億人を超える連合体になっている。また、ミャンマーの通信事業では共同事業開始から7カ月が経ち、800万枚以上のSIMを販売しているとした。
今後は、3期連続の2桁成長を目指すとしており、2016年度時点で8200億円の営業利益になると予測する。また、5月1日に開始したSIMロック解除の義務化については、「業績にそれほど大きな影響はない」(田中氏)との認識を示した。
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