NTTドコモは4月28日、2014年度(2014年4月~2015年3月)の連結業績を発表した。売上高は、前年同期比1.7%減の4兆3833億9700万円、営業利益は同22.0%減の6390億7100万円、純利益は同11.8%減の4100億9300万円で、通期で減収減益となった。
スマートフォンを始めとする端末販売や、ドコモとシナジーの高い他領域での収入が増加したものの、「月々サポート」による割引きの影響や、新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」の減収影響が先行した。NTTドコモ代表取締役社長の加藤薫氏は、「減収減益になったことは誠に残念であり、重く受け止めている」と語った。
ただし、iPhoneや新料金プランの投入によって、同社のユーザーは順調に拡大している。純増数は2013年度の157万の倍以上となる349万契約に増加。また、MNP(携帯電話番号ポータビリティ)も前年度は123万の転出だったが、今年度は38万の転出と70%減少した。ドコモのスマートフォンの総契約者数は2875万件となった。
2014年6月に開始した新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」の契約数は4月5日に1800万を超えたが、予想よりも低額なプランへの移行が多く年度累計で1070億円の赤字となった。現在は、パケットパックで大容量を選ぶユーザーが増えていることなどから、収支も改善傾向だという。
NTT東西が提供する光回線サービスを使った固定通信サービス「ドコモ光」の申込み件数は3月末時点で23万件で、加藤氏は「堅調な立ち上がり」と評価。また、ドコモ光の利用者の2割が新料金プランの上位プランへと移行したり、3割がモバイルを新規契約したりと、早くも相乗効果が出てきているとした。
同社の直営ストアである「dマーケット」の契約数は1188万を突破。中でも、雑誌読み放題サービス「dマガジン」が急成長しており、191万契約を超えているという。dマーケット全体の取扱高は728億円で、前年度の553億円から約3割ほど増加。1人あたりの利用料も3割増の1010円となった。LTE基地局は前年度の5万5300局から9万7400局へと増設し、このうちの5万7700局が100Mbps以上に対応している。
同日には、中期目標に向けた新たなビジョンも説明した。加藤氏は新料金の導入やドコモ光の提供を機に、「従来の顧客獲得競争から脱却する」と話す。今後は、自社中心だったサービスを、さまざまな領域のパートナーと組んで開発・提供する“協創”スタイルへと転換していきたいという。
この協創を実現するために、「パートナー『+d』」という形で各社とコラボレーションしていく。ドコモが保有するユーザー基盤やプッシュメールなどの送客力、決済ソリューションなどと、パートナーのサービスを連携させることで、商流を加速させていきたい考えだ。また、IoT(モノのインターネット)や社会課題の解決、地方創生、東京オリンピックが開催される2020年に向けた取り組みなども進めるとした。
これに併せて、ドコモが従来提供していたサービスのブランドも統一する。ポイントサービス「ドコモポイント」は「dポイント」に、会員プログラム「ドコモプレミアムクラブ」は「dポイントクラブ」に、クレジットサービス「DCMX」は「dカード」に、顧客ID「docomo ID」は「dアカウント」に名称を変更するという。
加藤氏は最後に、新たなブランドスローガンとして「いつか、あたりまえになることを。」を掲げた。「新しい技術や仕組みは、お客様には難しいかもしれない。それを簡単で当たり前なサービスとして提供することが、我々が果たすべき役割であり、それこそがイノベーションだ」(加藤氏)。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」