Donutsのアイドルゲーム「ナナシス」秘話--初期の無課金運用や派手な展開をしなかった理由 - (page 2)

佐藤和也 (編集部)2015年05月29日 12時52分
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いいものを作って人の心を動かす。それを伝えていくのがメディアミックスの考え方

  • 再販という形でiTunesで配信したミニアルバム「t7s Re:Longing for summer」。配信翌日の4月24日は終日チャート1位を維持していた

 2014年に企業ブースで出展した2度のコミケは、グッズがほぼ完売。特に5曲とミニドラマを収録したファーストミニアルバム「t7s Longing for summer」は、初めてフルコーラスを収録したこともあってか、用意していた777枚が即完売した。2015年4月にiTunesで再販されると、アルバムチャートで1位を記録した。中川氏の加入やコミケでの状況によって、メディアミックスなどさまざまな展開が動かしやすくなったと振り返る。もっとも、ただ数を増やすといった目先のことにとらわれず、ユーザーとの接触ポイントを増やしつつ着実に展開していくことが重要という。

 「いいものを作って人の心を動かす。それを伝えていくのがメディアミックスの考え方。少なくともナナシスは人の心を動かすものであると思っています。世界観やコンセプトを濃密に構築しているので、そこを阻害しない形で展開していくことが注意するべき点です。なので外部の方に丸投げするようなことはできず、そうなるとすごく時間がかかりますので、初期段階では同時展開せずコンテンツに集中していたのだと思います。今後もその姿勢は変わりませんが、一方で慎重すぎて小さな施策ばかりやっているよりは、準備を整えつつも大きな施策を行うことも大事。長く展開するために守るべきところは守って、攻め入るところには打って出る必要があると思います」(中川氏)

“はじまり”であり“恩返し”でもあるファーストライブ

 ナナシスの大きく打って出る施策のひとつで、今後の展開を占う意味でも重要だとしているのが、5月31日に行われるイベント「Tokyo 7th シスターズ 1st Anniversary Live 15’→34’ ~H-A-J-I-M-A-L-I-V-E-!!~」。総勢21人のキャスト陣が出演する初めてのライブをZepp Tokyoで開催する。このライブの位置づけは“はじまり”であり、中川氏個人としては“恩返し”の意味もあるという。

  • 公式サイトに掲載されているライブ告知

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 「支配人のみなさんから求められていたことでもありますし、茂木もスタッフもやりたかったこと。私はビジネスを見る立場ですが、そこを抜きにしてもどうしてもやりたい気持ちもありました。ライブ構成も茂木が自ら考えていますし、これからはじまるというメッセージをここから発信していきます。と同時にライブという形にするのは、ここまで一緒にコンテンツを育ててきた方々への恩返しでもあると。その意味でも今回のライブはとても重要だと感じています」(中川氏)

 もっとも、2度行われたチケット先行販売では会場であるZepp Tokyoのキャパシティを大幅に上回る申し込みがあり、一般販売も即完売した。中川氏も初めてのライブでは規模が大きすぎるという周囲の反対と自身の不安を押し切って決まった会場だけに、この状況には複雑な心境を持っているという。

 「会社としても私としても手がけたことのない領域であって、ファーストライブでZepp Tokyoは大きすぎると社内外からたくさん言われました。僕らとしても精神状態が保てないぐらい不安でしたが、恩返しとして見たいと思ってくださる方が見ていただけるようにと決めました。あくまで“はじまり”なので、当日のライブが成功し支配人のみなさんからの要望もあれば、その声を後押しとして次のステージを用意します」(中川氏)

 この先については展開の幅を広げ、とかくゲームの中だけでは伝えきれていないものも多く、またゲームから入ってこれないユーザーに向けて、ナナシスの世界に入ってこれる切り口を増やしたいとしている。特に2015年は、ナナシスやProject 7thがどういうものであるかを提示する年にしたいという。

 「茂木も私もやりたいことはありますし、ナナシスが立ちべきポジションも想定しています。小さい規模でやることは楽しいですが、大きな舞台で輝かせるのも大事です。しかるべきステージを見定めて展開していくこと、そして茂木が表現したいことをいい形で提供したいと考えています。成長のためのステップは先々まで考えているので、それをいい形であてはめていきつつ、そしてエンタメなので期待通りのことはせず、いい意味での裏切りながら、驚きと喜びを与えつつ展開していくことですね。ビジネスとしてはまだまだこれからですが、後からついてくるものと思わせてくれるだけの力があります。ひとつひとつのことを丁寧に展開していくプロジェクトなので時間がかかりますが、しっかりと見届けてほしいです」(中川氏)

徳島「マチ★アソビ」でトークイベント。「現実味がないぐらいファンが増えている」

 ナナシスは5月4日、徳島県で行われた複合エンターテイメントイベント「マチ★アソビ」にて、キャスト陣を交えたトークイベントを実施した。トークでは、「t7s Longing for summer」のジャケットイラストラフが当初別のキャラで描かれていたことや、後の5月20日に発売されたファーストアルバム「H-A-J-I-M-A-L-B-U-M-!!」の一部先行披露、茂木氏とキャスト陣による収録秘話や聴き所、ファーストライブに向けた意気込みなどが語られた。

左から茂木氏、春日部ハル役の篠田みなみさん、天堂寺ムスビ役の高田憂希さん、角森ロナ役の加隈亜衣さん、晴海カジカ役の高井舞香さん
左から茂木氏、春日部ハル役の篠田みなみさん、天堂寺ムスビ役の高田憂希さん、角森ロナ役の加隈亜衣さん、晴海カジカ役の高井舞香さん

 茂木氏は約半年前のマチ★アソビでのステージに集まった支配人の姿を目のあたりにして、すごく衝撃的だったと語った。またナナシスに対して興味や関心を持ってくれる方の数が、ライブチケットの申し込みやゲームのプレイヤー数などから、茂木氏自身が現実味がないというぐらいに加速度的に増えているという。ライブについては「1回では終わらせない」と明言。今後に期待してほしいとメッセージを送っていた。

  • 茂木氏が自ら描いたという、t7s Longing for summerの初期ジャケットイラストラフ。構図は製品と近いが、当初は春日部ハルではなく、羽生田ミトというキャラの予定だったという

  • ファーストライブでやってほしい指のポーズを指導する一幕も

  • ファーストライブで各種グッズも発売。場外で販売するため、チケットがなくても購入できるという

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