起業に欠かせない「資金調達」の基礎知識--【第1回】融資を受けるには

創業手帳編集部2015年05月11日 08時00分

 起業するためにはお金が必要だ。主な資金調達方法を分類すると、「出資」「個人借入」「融資」「補助金・助成金」などがある。方法はたくさんあるが、起業してからすぐの段階では現実的には使えない方法も多いので注意が必要だ。そこで、3回に分けて起業時に活用したい資金調達の方法を紹介しよう。

 第1回は最もメジャーな方法である「融資」の受け方を解説する。起業するときは、自己資金を資本金として差し入れて、事業を始めるのが基本だ。それでも資金が必要な場合は、他所から資金調達をしなければならない。最初に検討したいのは、融資による資金調達だ。

 融資は、金融機関などから資金を借り入れる方法で、金利を含めて返済が必要になる。今回は、主な融資方法の特徴やメリット、デメリットを紹介する。

1.銀行

 銀行から資金を借入れる。信用の問題から設立直後の会社には、大手銀行はまず融資を実行しない。知名度は高いが、立ち上げ期には向かない資金調達方法だと言える。

【メリット】
  • メガバンクの場合支店が多く便利
【デメリット】
  • 金利負担が発生
  • 設立直後の会社では利用が難しい

2.信用金庫

 信用金庫からの借入れ。地域の信用金庫により条件は変わるが、総じて銀行より融資のハードルは低い。一定期間後にトライする価値はあるが、立ち上げ期の次のステージで検討すべきであり、まずは次項で紹介する「制度融資」を利用する方が現実的である。信用金庫の設立経緯から、特に地域密着企業が活用したい資金調達方法である。

【メリット】
  • 顧客・ビジネスパートナーの紹介や情報提供をしてもらえるケースがある
【デメリット】
  • 金利負担が発生する

3.制度融資 【重要】

 制度融資による資金調達では、民間金融機関の貸し付けに、信用保証協会が信用保証を付けることで創業者は借り入れしやすくなっている。行政が信用保証の斡旋をしてくれる。地域によっては、行政が支払利息や保証料を一部負担(利子補給)してくれるところもある。

 上限3000万円、金利2.1~2.7%(利子補給を加味するとさらに下がる可能性がある)、運転資金ならば7年以内、設備資金ならば10年以内が目安である。借入上限金額は事業計画、自己資金などを勘案して決まる。

 全国に52の信用保証協会(各都道府県に47あるほか、横浜、川崎、名古屋、岐阜、大阪の5市にある)があるので、制度融資を検討する場合は問い合わせてみるとよいだろう。また、創業しようと考えた地域の行政にはたいてい窓口相談制度があり、親身に対応してくれる。行政のほか、地元の商工会議所にも確認してみよう。


「制度融資」の仕組み

 なお、信用保証協会では相談業務、公開講座、創業スクールなどが実施されていることもあるので、ぜひ活用したい。

【メリット】
  • 創業前でも申込みできる
  • 無担保・無保証(借入金額による)※無保証とは第三者保証が不要という意味
  • 行政が支払利息、保証料の一部補助をしてくれる(行政により内容は異なる)
  • 経営相談にも乗ってくれる
【デメリット】
  • 申込みから実行まで時間がかかる(少なくとも1カ月は見た方が良い)
  • 支払利息とは別に保証料の負担が発生

4.日本政策金融公庫の公庫融資【重要】

 日本政策金融公庫は国民生活事業と中小企業事業があるが、創業希望者は国民生活事業の「新創業融資制度」に申し込める。別途、「新規開業資金」制度もあるが、ハードルが高いのでここでは「新創業融資制度」について取り上げる。

 上限1000万円、金利1.25~3.00%、原則設備資金ならば15年以内、運転資金ならば5年以内が目安である。借入上限金額は事業計画、自己資金などを勘案して決まる。日本政策金融公庫各支店の国民生活事業に申し込む。必要書類はウェブサイトからダウンロードできるので、ぜひチェックしてみよう。

【メリット】
  • 創業前でも申込みできる
  • 無担保、無保証(借入金額による)※無保証とは第三者保証が不要という意味
  • 制度融資に比べると比較的早く結論が出る(2~3週間)
【デメリット】
  • 特になし

5.マル経融資【低金利】

 マル経融資は、商工会議所の推薦により受けられる融資。1年以上の事業実績が必要。金利が低いため、借り換えも有効。

 上限金額2000万円、金利1.45%(2014年東京商工会マル経融資の場合)で、通常受けられる融資の中で最も低い水準の金利である。制度融資や公庫融資で資金調達し起業した場合、1年後にマル経融資の審査を受け、借り換えができるように計画するとよいだろう。

【メリット】
  • 利息が低い
  • 無担保無保証
【デメリット】
  • 創業後1年経過が必要

 第2回は、融資と並び人気の高い「補助金・助成金」について解説したい。

創業手帳編集部

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