トウキョウ・デジタルミュージック・シンジケイツ(TDMS)は4月24日、アナログレコードの製造と販売、デジタル配信ができる音楽プラットフォーム「Qrates(クレイツ)」のベータ版を公開した。プラットフォーム内に自分のショップを作ることで、100枚からの少ロットでレコードを製造して販売できる。
サービスの大きな特徴は独自のファンディング(資金調達)機能だ。プロジェクトを立ち上げて、ファンから購入予約を受け付け、製造資金を集めてからレコードを製造できる。レコードが手元に届くのは、全てのデータを納品してから約8週間後という。ファンからのオーダーが少なくプロジェクトで設定した目標枚数に達しない場合は、レコードは製造できない。自ら必要な枚数を買い取ってプロジェクトを成立させることは可能だ。
レコードの価格設定は自由。販売手数料は、ファンディングプロジェクトが成功した場合は総額の15%。また、プラットフォーム内のショッピング機能によって販売が成立した場合は売上の10%。
製造と販売にあわせて、製造枚数や販売単価などのシミュレーション機能や、音楽がどのようにファンに聞かれているのかを把握するためのマーケティングスタッツ機能などを利用できる。
2007年頃から、米国や英国でレコードが急速に売上を伸ばしている。米国では2014年に前年比52%となる920万枚が販売され、過去20年間で最高の販売量を記録したという。国内でもじわじわと人気を集めている。日本レコード協会の調査によれば、2014年の国内のレコード生産量は前年比149%となる40万1000枚。生産額は6億7800万円(前年比166%増)で、2005年以降で最も多い。
盛り上がりつつあるが、まだ課題がある。TDMSによれば、アーティストや音楽レーベルがレコードの製図を依頼するには、最低300枚ほどのロット数が必要という。また、数少ないレコード販売店で取り扱ってもらうためには強力な流通のパートナーが必要であり、知名度や資金力の少ないアーティストはもちろん、大手音楽レーベルにとっても気軽にレコードを製造して販売するのが難しい状況なのだそうだ。
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