米国時間3月30日、音楽ストリーミングサービスの「TIDAL」が月額9.99ドルで高品質の音楽を楽しめるサービスとして再開されることが発表された。しかも、Spotifyなどに取って代わるアーティスト所有のサービスとして、Jay Zなど10組以上の一流ミュージシャンの支持を受けて開始されるという。
多くのスターが顔を揃えたイベントの席上で発表されたTIDALは、競争の激しい音楽ストリーミング業界が華やかな新参者を受け入れる若々しさをまだ備えているかどうかを測る試金石となるだろう。音楽ストリーミングサービスは急成長を続けているが、SpotifyやPandoraなどの企業が、早い段階から事業を展開してトップの地位を固めている。TIDALは、世界的に有名な音楽アーティストらが所有し、高品質の音楽と動画に加えて編集されたコンテンツを配信するサービスとなるが、その成功はブランド戦略の成否にかかってくるだろう。
また、TIDALでは、アーティストの支持を受けているという主張が消費者の心に響くかどうかが試される。音楽ストリーミング業界では、Taylor Swiftが自身の楽曲をSpotifyから引き揚げるなどの対立が注目を浴び、アーティストの報酬に話題が集まる状況となっていた。
今回の発表の前には、Kanye West、Rihanna、Madonnaといった著名なアーティストらがソーシャルメディアを通じてこのイベントを予告していた。また、音楽界の大スターらが一堂に会するというワクワクする場面を映したティーザー広告動画も公開されていた。
30日のイベントでは、動画に出演したミュージシャンを含む十数名のアーティストらがステージに登場し、彼らがTIDALのオーナーであることを宣言する文書に署名した。Alicia Keysはこのイベントを「音楽の歴史を永久に変えることになる瞬間」だと述べ、「アーティストが所有する史上初の世界規模の音楽とエンターテインメントのプラットフォーム」が誕生すると語っている。
ただし、イベントに登場したアーティストたちやその他のミュージシャンがTIDALで楽曲を独占配信するのかについては、このイベントで明らかにされなかった。もし独占配信が実現すれば、世界的人気を誇るアーティストらの一部は、TIDALでしかその曲を聞けなくなる。またこのイベントでは、TIDALが携帯通信事業者のSprintと提携することも発表されたが、その詳細は明らかにされていない。
TIDALは、Appleの「Beats Music」やSpotifyの有料サービスと似たサブスクリプション型音楽ストリーミングサービスで、Jay ZことShawn Carter氏が2015年1月に5600万ドルで買収した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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