業界の起業家、イノベーター、ベンチャーキャピタリストらが集い、最新のビジネストレンドを披露するカンファレンス「新経済サミット2015」が4月7日、8日の2日間に開催された。
2日目は、国内でも利用者が徐々に拡大し、新しいビジネスとしての可能性が見え始めてきた資産共有型のサービス、いわゆる“シェアリングエコノミー”についてのパネルディスカッションが行われた。衆院議員のふくだ氏が「グレーならやっちゃえ」と大胆発言するなど、法規制が絡み微妙な話題になりがちなテーマながら和やかな雰囲気で進行し、日本の起業家を鼓舞する内容となった。
パネルディスカッションでは、シェアリングエコノミーの代表格と言える、個人宅の宿泊施設化を実現する「Airbnb」のCTO ネイサン・ブレチャージク氏と、「Uber」の最大のライバルと目されるライドシェアサービス「Lyft」の社長ジョン・ジマー氏が壇上に招かれた。さらに、国土交通委員会委員であり、自民党インターネットメディア利活用推進議員連盟事務局長、党内IT特命委員会事務局長などを務める、衆議院議員のふくだ峰行氏がそこに並んだ。
モデレーターの井上氏は、不動産情報サイトの「HOME'S(ホームズ) 」などを運営するネクストの代表取締役社長で、いわば既存業態と新興勢力、そしてそれらのビジネスを取り巻く環境作りに携わる政治家という三者がそろい踏みする、やや緊張感のある構図となった。
シェアリングエコノミーを簡単に説明すると、世の中に分散して存在している既存の多くの施設や財産のうち、有効に利活用できていないものについて、テクノロジの力を借りて違った形で有効利用できるようにし、ビジネス化するもの。たとえばAirbnbは空き家あるいは空き部屋を貸し出して主に海外からの旅行者が利用できるようにしている。また、Lyftは元々はプロではない一般人でもドライバーとして登録することで、アプリなどからの配車要求に応じて利用者をピックアップし、目的地に送り届ける仕組みを提供している(現在は米国のみ)。
こうしたシェアリングエコノミーに関わるビジネスのいくつかは、多額の資金をベンチャーキャピタルなどから調達するなどして、急成長を遂げている。Airbnbは7年前に設立したが、現在は全世界に100万もの物件があり、これまでに3000万人が利用している。Lyftもまだ米国でしかサービスを提供していないにもかかわらず、ここ2年間で月当たり300万人もの利用者がいるという。
しかし、Airbnbのネイサン・ブレチャージク氏は、「ホームシェアリングはまだ始まったばかり。今の10倍、100倍になっても、(ビジネス規模としては)非常に小さい」と控えめだ。近い将来の展望を聞かれた同氏は、ゆくゆくは「みんながどこにでも“所属”できる世界を作りたい」とし、地域ごとに異なる家や文化、バックグラウンドに対して「旅行者がそれを経験するためのアクセスを提供したい」と話し、そういった経験を通じて「世界がより小さくなっていくのではないか」と語った。
Lyftのジョン・ジマー氏は、楽天やオンライン取引サービスを運営する中国のAlibabaなどからの投資によって「アジアや世界の市場が視野に入ってきた」と話す。都市や人の周囲に新たにクルマや施設を作るなど、余計な社会的コストを増やさずに人々を結びつけてコミュニティを構築できるとして、Lyftのサービスに自信を見せる。世界的な交通量の削減を目指すことをゴールにしているようだ。
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