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電子書籍ビジネスの真相

楽天&有隣堂の複合書店で到来する? 日本型O2Oの夜明け - (page 2)

林 智彦(朝日新聞社デジタル本部)2015年04月15日 08時30分
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 これに対して、表の5~7は、オンラインからオフラインへ、ネットからリアルへ、送客する、というO2Oの本義に近い。

 たとえば「5」の「バンドル」。店頭で出版物を買えば、電子版が割引価格または無料でダウンロードできるバンドルは、本来有料の電子書籍が、書店へ出向けば割安あるいはタダで手に入るわけですから、リアル店舗来店への動機づけとしては、筋の通った施策といえるでしょう。

 「6」の「店頭在庫のネット検索」は、さらに重要です。ネットユーザーは、「検索」して「発見」できないものは、基本、世の中にないものと考えがちです。ところが数年前まで、店頭在庫がネットから直接検索できるリアル書店は、多くありませんでした。主要な書店では、紀伊國屋と三省堂くらいだったでしょうか。

 個人的な経験ですが、編集者をやっていると、「明日までにどうしてもこの本のこのページの記述を確認したい」ということがよくあるものです。そんなとき、蔵書数が多く、店員さんの知識がしっかりしていて、会社からも近い八重洲ブックセンターと丸善丸の内本店が第一選択肢だったのですが、紀伊國屋書店が在庫検索を始めてからは、ほとんど紀伊國屋書店で買うようになりました。

 八重洲ブックセンターも、丸善も、在庫がネットから検索できず、電話で問い合わせなければならなかったからです(丸善は現在は可能。八重洲ブックセンターは今でもできないようです)。

 これはネット的に考えると、ありえないことですね。検索して到達できないということは、ネットの言葉で言えば、「導線」がないということになります。導線のないところにはお客は来ません。つまりこれまで日本のリアル書店は、ネットに対して扉を閉ざしていながら、「ネットに客を奪われた」と文句を言っていたわけです。

 この点でも実は有隣堂は進んでいます。検索機能が、大手書店の中ではもっとも使いやすくできているのです。他の書店では、「検索」→「在庫店舗の確定」までのステップに、かなり複雑な過程が挟まることも多いのですが、有隣堂の検索機能は、欲しい結果にワンステップでたどり着ける上、情報更新が頻繁にされています。他の書店では、「前日段階の在庫」しか提供していないことが多いのですが、有隣堂の場合は、頻度はわかりませんが、情報更新時刻まで表示されているところを見ると、かなり頻繁にアップデートされているようです。

  • 有隣堂「在庫検索」ページ

 取り置き依頼が電話でしかできないのは残念なところですが、他の機能は抜群です。最後にネット書店へのリンク(HonyaClub.com)もあります。

 ちょっと横道にそれますが、よく考えると、リアル書店の「取り置き」って、ネット書店にはできない、リアル書店のキラーサービスなんですよね。ネットでは「(一部の)サンプルを見る」「買う」の二択しかないですが、「取り置き」では、「実物」を眺めて、「すみません、やっぱりやめます」ということもできるのですから。

 こうした基本的な機能に加えて、今回の楽天+有隣堂で打ち出されたような、スマートデバイスの位置情報を活用した狭義のO2Oを発展させられれば、ユーザーの行動により密着したプッシュマーケティングなども進んでいくでしょう。

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