先日スペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress(MWC)」にあわせたイベントで、フラッグシップモデル「Galaxy S6/S6 edge」を発表したサムスン。ロゴを一新し、デザイン、スペック、機能のすべてを一から見直したという新端末は、まもなく日本でも発売予定という。新端末にかける思いから、日本撤退の噂の真相まで、サムスン電子ジャパン無線事業本部の石井圭介専務に聞いた。
詳細は未発表ながら、日本でもまもなく発売予定とされる「Galaxy S6」と「Galaxy S6 edge」。中でも両サイドがカーブした曲面ディスプレイを採用するGalaxy S6 edgeは、コモディティ化が言われる昨今のスマートフォンの中にあって、ほかにない特徴的なデザインのデバイスとなっている。
サムスン電子ジャパンプロダクトグループの糸桜幹推氏によれば、今回の製品の最大のポイントは、まさにこのデザインにあるという。これまでのGalaxy Sシリーズと同様に最新スペックを備えたフラッグシップモデルであるとともに、今回からブランドロゴを一新。強化ガラスとアルミ合金を採用しつつ軽量化した筐体、両サイドを曲げた狭額縁かつスリムな5.1インチQHDディスプレイ、自社製の最新オクタコアチップを採用したCPU、見たまま明るく撮れるF値1.9の16メガカメラなど、すべてのパーツを一から再構成し、見た目にもそれとわかるデザインで具現化したという。
両面に強化ガラスのGorilla Glass 4、サイドに剛性の高いアルミ合金を使用しながら重さ約132gと軽量なGalaxy S6 edge。5.1インチの大画面かつ高精細なQHD有機EL曲面ディスプレイを搭載しながら、スリムで持ちやすいサイズ感を実現している。ガラスの下には特殊な光学フィルムを使用し、光の当たる角度によって異なる表情が楽しめる高級感も演出。カラーは全4色で、いずれも宝石をイメージした名前が付けられている。
今やグローバルではもちろん日本でも、ハイエンドスマートフォンの代表格となっているGalaxy Sシリーズは、なぜこのタイミングで、その在り方を一から見直す必要があったのだろうか。
石井氏 スマートフォンがグローバル的にも一定の普及を成して、スペック競争もある程度落ち着いてきたという時代の流れの中で、トップの座を維持するためには、今の延長戦上にある製品だけで勝負していたのではダメだということです。グローバルで勝っている今だからこそ、ステージを大きく変えるような商品が必要で、そのために今回、Galaxy Sシリーズに全面的に見直しをかけました。
Galaxy Sシリーズはご存知の通り、グローバルのフラッグシップモデルであり、弊社の事業の基幹をなす製品ラインです。これまでも常に、その時々で最高のスペックや機能を搭載してきましたが、今回は外観から、素材から、加工から、カメラなどの機能面、アプリケーションまで文字通りすべてを一新し、またそれらを支えるためのCPUにも、世界で初めて14ナノのものを搭載しています。
これは世界中で弊社しか持っていない半導体ライン。つまりまだどこも使っていない、最先端のチップです。これまでもCPUを中心にとか、ディスプレイを中心にといったスペックアップやリニューアルはしてきましたが、ここまですべてのパーツ、スペック、デザインを見直して、まったく新しいカタチでGalaxy Sシリーズを出すのは初めてのこと。言い換えれば今回のGalaxy S6とGalaxy S6 edgeは、それぐらい力の入った製品だということです。
石井氏 変えるのではなく、広げるといったほうが正しいですね。そのためにロゴも一新しました。今までのロゴも最先端の製品を好むお客様には好評だったのですが、新しいGalaxy Sシリーズでは、従来のお客様に加えてさらにターゲットを大きく広げていきたい。そのためにグローバルでは、パリのファッションウィークにも出展するなど、これまでにはない挑戦もしています。まだ詳細は言えませんが、日本でも今まで以上に幅広いお客様に届くような、いろんな取り組みを考えていますのでぜひ楽しみにしていてください。
石井氏 具体的な数字は公開していませんが、日本で一番売れているスマートフォンと肩を並べられる、そういう戦いがこの製品をきっかけに始まるんだというくらいの気概と規模感を持って、準備をさせていただいています。たとえばモバイル業界では、販売店を回る「ラウンダー」と呼ばれる専門のスタッフを数十人規模で教育して全国に派遣し、現場で製品について説明したり、お客様へ提案したりしているのですが、その「ラウンダー」を、今回は通常の約4倍にあたる数百名規模で展開する予定です。
Galaxy S6/S6 edgeは非常に多機能ですが、実際にどういう機能に価値を感じていただけるかはお客様によっても違います。お客様1人1人にとって我々の製品が本当に役に立つ、生活をより良くするものになるためには、実際に製品に触れられる店頭などの場で、それを体験していただけるようにしなければならない。そのためにも、製品のことを知り尽くした「ラウンダー」の存在が重要なんです。
体験いただくという意味では、ほかにNPO団体や公的機関と協力して、シニアの方にスマートフォンに触れてもらう活動にも取り組んでいます。スマートフォンはシニアの方から、難しい、使えないと言って敬遠されがちですが、使い方さえわかれば今までになかった新しいライフスタイルやベネフィットを提供できる。だからその入り口までは、メーカーとしてきちんと導くべきですし、今それができていないのは、我々の告知や訴求が足りないからだと思うんです。
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