自宅の清掃員と顧客をオンラインでマッチングする「Helpling」-- 高齢化社会に定着するか - (page 2)

ユーザーと清掃員の信頼関係構築が鍵

 万が一、清掃時に器物破損などの事故が発生した場合に備えて、Helplingは100万シンガポールドル相当を補償することをサービスポリシーに盛り込んでいる。このようにサービスの設計は非常に簡潔である。登録しているシンガポールの清掃員は現在150名。Helplingにサービスを変更した後、ユーザーによる予約は毎週20~30%の割合で増加しているという。

 Helplingの前進であるSpickifyを開発したきっかけは、創業者であるHoe Yeen Teck氏自身がパートタイムの清掃員を探すときに苦労したことだった。知人への相談やインターネット上の掲示板などを通じて清掃員を探したが見つからず、仕方なく不法就労者を派遣しながら150シンガポールドル(約1万3000円)という高額な仲介手数料を請求する業者に問い合わせという。また、柔軟な働き方を求める人が増えていると彼が感じたことも開発を後押しした。

 シンガポールでは外国人を中心に家でメイドを雇うことが浸透している。それを近くで見ている現地のユーザーにとっては、他人に自宅に来てもらい家事を手伝ってもらうことは日本よりも受け入れられやすいかもしれない。一般的に経済合理性を重視する性格との相性もよさそうだ。また日本と同じく高齢化が進む同国では、自分ではなく自分たちの親の家を掃除してほしいという需要もありそうだ。

 ユーザーと清掃員、事務局との信頼関係なくして成立し得ないサービスだが、清掃員を主に自国の国民に制限し、彼らのバックグラウンドをユーザーと共有し、また登録プロセスにおいては面接を実施することで信頼を担保しようとしている。実際に利用したユーザーから良いクチコミが聞かれれば、一気に拡大するかもしれない。

 ドイツのHelplingを支援しているのが、同じくドイツ発の「Rocket Internet」。先進国で成功しているビジネスモデルのクローンサービスを新興市場で次々と立ち上げることで知られるインキュベーター企業だ。同社が運営する飲食店のデリバリー注文サイト「Foodpanda」は以前、シンガポールの「Food Runner」を含むアジアの同業6社を買収し、域内でサービスを拡大させた。同社のような域外の主に先進国の企業が新興市場を開拓すべく、地場のスタートアップ企業を取り込むケースは今後も増えるかもしれない。


飲食店のデリバリー注文サイト「Foodpanda」シンガポール版

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