シンガポールの大手紙TODAY(トゥデイ)が報じたところによると、同国を拠点とするフードチェーンのThe Timbre Groupは2月5日、国内5店舗に40機のドローンを導入するために、シンガポールドルにして7桁台の投資をすると発表した。日本円にして、およそ8700万円~数億円にのぼる。また、実際の利用を2015年内にも開始するという。
同社のマネージングダイレクター Edward Chia氏は今回の投資に際して、「店舗運営の生産性を25%向上することができる。従業員はもはや、キッチンとダイニングエリアの間を行き来する必要はない。ドローンに設置された皿に料理や飲み物をセットすれば、自動で運んでくれる」と述べた。
さらに、「700グラムの重さまで載せることが可能で、今後はビール2パイント分に相当する、2キロの重さまで積載可能にする計画がある。また、人間の身長よりも高い位置で飛行し、ドッキングステーションにも自分で戻ってくる」という。
TODAY紙が運営するFacebookページでは、The Timbre Groupの店舗で報道関係者向けに披露された、実際のデモンストレーションの映像が公開されている。
ドローンを開発したのは、シリコンバレーにも拠点を置く、シンガポールのロボティクス関連企業Infinium Robotics。2014年10月には、同社のCEO(最高経営責任者)であるWoon Jun Yang氏が、首相のLee Hisen Loong氏を招いて行われたイベントでデモンストレーションを披露した。
ニュースサイトVulcan Post(バルカン・ポスト)が報じたところによると、Woon氏は同イベントで大手紙 The Straits Times(ザ・ストレーツ・タイムズ)の取材に対し、「レストランのウェイターたちは、ドローンを活用することにより、顧客からのフィードバックを得るなど、より付加価値の高いに専念することができるようになる」と述べていた。
また同氏はこの製品の課題について、「人々がこの新しいテクノロジに対して疑問を感じるのは非常に理解できる。我々は、ドローンの安全性と、それがレストランを訪れた顧客を決して傷つけないことを示していかなければならない」とも述べた。
シンガポールでは、料理や飲み物を運ぶだけでなく、このドローンを活用してメニューの注文や支払いに対応する技術の開発も行われている。テクノロジがそのほかの分野に革新をもたらす動きが、アジアでも着実に進みつつある。
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