エンファクトリーは3月25日、つくり手/メーカー/小売業者をマッチングさせる、ものづくりに特化したクラウドソーシングサービス「TSUKURITTE(ツクリッテ)」を公開した。よいアイデアはあるものの商品化まで進まずに困っているプロデューサーやデザイナーに、各商品に最適な工場/工房やプロダクトデザイナーを紹介するなどして、商品生産後の販路の確保までをサポートする。
エンファクトリーはパートナー企業とともに、ネットショップと実店舗で展開する「スタイルストア」を10年にわたって運営している。そこで築いた1500社に及ぶ工場/工房やプロダクトデザイナーなどのネットワークをTSUKURITTEに活用する。
あらゆる消費者向け商品の開発/生産に対応し、一貫したコンセプトでカテゴリを横断して商品ラインアップをそろえることが可能。工場などを探す際にはTSUKURITTEのコーディネーターが間に入り、問い合わせや発注のハードルを下げる。最適な工場などを提案するほか、スタイルストアの運営で培ったマーティングノウハウも提供するという。なお、コーディネーターは約10人いるとのこと。
商品生産後の販路を拡大させるため、産地やメーカーでの体験型商品開発を支援する続(つづく)、海外とのマッチングを支援するLo-opと組み、TSUKURITTE運営委員会を設置した。国内ではスタイルストアをはじめ、百貨店やセレクトショップなどでの取り扱いを見込む。ある大手百貨店とはすでに交渉を進めているという。海外では東南アジアや米国を中心に、主要各国への販路を拡大させていく。
また、マッチングから開発/生産、流通までのスキームに「クラウドファンディング」の仕組みを取り入れることも検討しており、すでに話を進めている企業があるそうだ。
取引にはエンファクトリーが介在する。料金は依頼内容によって異なり、たとえばオリジナル商品を作りたい「EC事業者や小売業者、アパレルブランド」が「工場や工房」に発注する金額には、同社がマージン3~5%を載せる。また、生産ラインがすでにある「工場や工房」が「デザイナー」の紹介を依頼する場合には、同社が約30%のマージンを載せるという。
なお、海外のデザイナーを紹介する場合はLOOPも利益を得るが、国内で完結する場合はエンファクトリーのみが収益を得る。また、同じく生産ラインのある工場や、工房を持つ職人が、販路のオプションとして「ワークショップ開催」「工場見学」などを依頼する場合には、続がコンサルティンティング料や代行手数料を得る。
エンファクトリーの執行役員で副社長である清水正樹氏によれば、これまでスタイルストアを運営する傍ら、外部のデザイナーなどに相談されて商品アイデアに合った工場や工房を紹介することがあったという。そこで限定的に取り組んでいたものをオープンにすべく、今回、TSUKURITTEを立ち上げた。
「ECサイトが増加する中、他と差別化を図るためにオリジナル商品の制作に乗り出すEC事業者が増えている」と清水氏。TSUKURITTEでは初年度の利用数30件を目標に掲げている。
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