“インターネット上の住所”と説明される「.jp」や「.com」をはじめとした「ドメイン」として、大阪を表す「.osaka」が一般向けに公開された。日本初の「地域還元型ドメイン」で、ドメイン運営を黒字化したのちに、レジストリ(運営者)のインターリンクが利益の半分を大阪府内の団体などに寄付する。寄付先は有識者会議「大阪ドメイン諮問委員会」が決定する。
同社代表取締役社長の横山正氏は、10年で10万件の登録と2017年度の黒字化を目指すとし、「毎年の固定費により一概には言えないが、2万件の登録により単年度の黒字化が達成できる」と説明。寄付先については「ITやドメインに関する大阪府内の団体、NPOを想定している」と語った。
日本の地域を表すドメインとして、.osakaは5番目。その他の「.nagoya」「.tokyo」「.yokohama」「.okinawa」には、地域に利益を還元する仕組みはない。なお2015年下期頃に提供されると見られる「.kyoto」は詳細が未発表であり、地域還元の仕組みが作られる可能性がある。
世界では、地域還元型ドメインとしてすでに「.london」があるが、その還元率などの詳細は明かされていない。また、自治体が地域名のドメインを運営する例もあり、パリ市が「.paris」を、ニューヨーク市が「.nyc」をそれぞれ運営している。
.osakaは同日11時から4月1日8時まで、インターリンクを含む約20の事業者が窓口となり先行登録(ランドラッシュ)を受け付ける。おおよその価格は1年目が2万8000円で、2年目以降は毎年4000円。取得者に対して「府内団体/在住個人、そのほか正当な理由のある人」との制限を設けているが、「主に不正利用を防ぐのが目的」(横山氏)であり、大阪府外の人でも取得できるケースもあるという。
大阪ドメイン諮問委員会のメンバーで大東文化大学の准教授である上村圭介氏は、地域名を使ったドメインは登録の制限が重要だと説明する。過去に「.HK」(香港)や「.TV」(ツバル)で、登録に厳しい条件が求められていなかったことから登録数が増大し、結果としてそのドメイン名空間の信頼性を損なうことになったという。
「地域的公共性の高いドメインの管理運営は、当該コミュニティへの奉仕を重視すべき。運営元はドメインの所有者ではなく、ICANN(IPアドレスやドメインを世界的に管理する民間の非営利法人)から委任されて預かっている立場。コミュニティへの奉仕を実現しようとする.osakaは世界的に見ても画期的だ」(上村氏)。
発表会に出席した大阪府のゆるキャラで大阪府広報担当副知事のもずやんは「皆さんが.osakaを使うことで、ネットでつながる世界中の人に大阪を知っていただけたら僕も嬉しいです。これから.osakaがどんどん広まって、大阪の魅力が世界中に発信されるよう応援しています」と祝辞を送った。
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