ミクシィから独立したテストアプリ配信「DeployGate」に新展開--他社連携や新プラン

藤井涼 (編集部)2015年03月18日 16時04分
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 開発者向けのテストアプリ配信サービス「DeployGate(デプロイゲート)」を運営するデプロイゲート。2月末にミクシィから独立したばかりの同社が早くも次の施策に乗り出した。他社と連携したサービスを共同で提供するほか、3月下旬には企業向けの新プランもリリースする。

 DeployGateは、アプリの開発者や企画者が、チームのメンバーやテスト担当者などに対して、テスト版アプリをワイヤレス(リモート)で配付できるサービス。通常、テストアプリを配布するにはスマートフォンとPCをUSBケーブルでつなぐ必要があるが、同サービスでは開発者から届いた招待メールから簡単にテストアプリをダウンロードして利用できる。


テストアプリ配信サービス「DeployGate」

 アプリ提供者は、各端末でのテストアプリの動作ログやクラッシュレポートを管理画面でリアルタイムに確認できる。また、テストアプリの更新版を端末にプッシュ通知したり、端末紛失時にリモートでアプリの利用を停止することも可能だ。

 デプロイゲートCEOの藤﨑友樹氏によれば、2012年9月のサービス開始から約2年半で数万のアプリ開発に活用されているという。また、当初は海外での利用が中心だったが、現在は「国内と海外で半々の比率」(藤﨑氏)に変化している。これは海外の利用者は個人開発者が多いのに対し、国内では企業が組織単位で利用しているからだという。

サービス開始から2年半、ミクシィから独立

 DeployGateは当初ミクシィがサービスを運営していたが、2月末にDeployGate事業責任者である藤﨑氏が代表を務めるデプロイゲートに譲渡された。その理由については「ミクシィ社が考えているスピード感で今後想定している事業規模を目指すのは難しいとの判断に至りました」と同社は説明していた。

 「サービス開始から2年が経っていることもあり、このまま続けるのかどうかを議論して、会社としては難しいという話になったため、僕たちが事業を買い取って継続することにした。ただ、ミクシィから見れば、その選択によって得られるものはないにも関わらず、『そこまでやりたいならやってみな』と許してくれたことには感謝したい」(藤﨑氏)。

 ミクシィとの資本関係はないが、現在もゲームアプリ「モンスターストライク」を始め、同社のさまざまなサービス開発で使われており、「引き続きファーストクライアントの状況は変わらない」(藤﨑氏)という。

ABCとテストマーケティング「サキプレ」を開発

 独立後の最初のアクションとなったのがAppBroadCast(ABC)との提携だ。両社は3月18日、ABCが運営するAndroidゲーム総合メディア「ゲームギフト」とDeployGateを組み合わせた、スマートフォンゲーム向けのテストマーケティングサービス「サキプレ」を4月中旬に開始することを発表した。

 サキプレは、ゲームギフト内で参加者を募って先行プレイテスト(クローズドベータ)を実施。そのプレイデータや評価データなどを元に、最終調整やリリース判定ができる新しいコンセプトのベータテストサービスだ。開発やプロモーションのコストが増大し、“失敗が許されない”現在のゲーム市場ならではの悩みを解決するサービスを目指す。このベータテスト機能に、開発中のアプリのリモート配布やリアルタイムのログ取得などができるDeployGateを活用するという。


サービスのイメージ

 スマホゲームでは、リリース前から良質なユーザーを獲得することが重要になっており、事前予約サービスなども増えている。その一方で、初動のプロモーションなどによりダウンロード数は上がったものの、ゲーム内の不具合やバランス調整不足などにより、アプリの低評価や売上が確保できない状況に繋がるといった事例も生まれている。

 ABCでも事前予約サービス「ハヤトク」を提供しているが、新たにテストマーケティングサービス「サキプレ」を提供して“リリースの最適化”をすることで、テストユーザーが新作ゲームへの愛着を深め、リリースと同時に熱量の高いレビューや評点を期待できるようになるとしている。

 今回の提携を打診したというABC代表取締役の小原聖誉氏は、デプロイゲートをパートナーに選んだ理由について「明確に最も使われていたサービスだから」と答えた。ABCはメディアを運営していることから、事前にゲームをプレイすることもある。その際にゲーム会社が最も利用していたサービスがDeployGateだったそうだ。デプロイゲート側もABCとの親和性の高さから提携を決めたと説明した。


左からデプロイゲートCOOの安田氏、同社CEOの藤﨑氏、AppBroadCast代表取締役の小原氏、同社執行役員の中村氏

企業向けの新プランも提供へ

 3月下旬にはDeployGateの新プランも提供する予定だ。同社ではこれまで、少人数のスタートアップでの利用を想定していたため、最大でも40アプリ・開発者数40人までのプランしか用意していなかった。そのため、それ以上メンバーがいる場合は別途、新たなプランを契約し直す必要があった。

 しかし、大手企業などの利用も増え、アプリ数や開発者数の上限を気にせずに社内の需要に合わせて随時追加したい、メンバーの部署異動や入社・退職が多く、もっと簡単に一括管理したいといった要望が寄せられていたという。

 そこで新たに、組織内のグループやメンバーを柔軟かつセキュアに管理できる「エンタープライズプラン」を提供し、グループやアプリ数の上限がなく、退職者のアカウント削除や権限付与などの一括管理をできるようにする。グループを横断できる共通チームなども作れるという。料金は20ユーザーごとに月額5万円。すでに、リクルートやクックパッド、はてななど10社近くが先行導入しているそうだ。

 同社では独立を機に、提携や機能追加などの事業スピードを上げることで、「アプリの作り手と使う人がスムーズにコミュニケーションできる世界を作りたい」(藤﨑氏)としている。またこれまで以上に海外での存在感も高めていきたいとした。

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