“データ”が変えるクルマの「アフターマーケット」--識者が議論

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 NTTドコモが2月24日に開催した「ドコモ自動車ビジネスソリューションサミット」。パネルディスカッションの第2部では、「これからの自動車アフターマーケット ~データが変える自動車の整備・流通~」をテーマに、“アフターマーケット”という視点からIoT(Internet of Things:モノのインターネット)が与える変化について議論した。

 モデレータをジェイシーレゾナンス代表取締役社長の松永博司氏が務め、パネラーとして全日本ロータス同友会会長の室谷眞一氏、ブロードリーフ代表取締役社長の大山堅司氏、イードのレスポンス編集長の三浦和也氏、NTTドコモ M2Mビジネス部担当部長の土橋寿昇氏らが参加した。

「アフターマーケット」は変わらざるを得ない


ジェイシーレゾナンス代表取締役社長の松永博司氏

松永氏 : もともと日本は自動車のアフターマーケットを形成してきた長い歴史があります。昭和40年代にはモータリゼーションが一気に進み、自動車の保有台数が拡大してきました。そして、その拡大によって関連サービスの分業化も進められてきたと思います。

 たとえば新車、中古車、燃料、カー用品といった販売、整備という話であれば、車体整備と分解整備といった分業化が行われています。分業化によって効率的に商品やサービスを提供することが競争力になった時代が“かつて”はありました。今“かつて”と言ったのは、環境が変わってきた、あるいは変わっていくだろうという話をさせていただくからです。

 現状では、アフターマーケット市場の規模はどれくらいあるか。それは10兆円とも言われています。整備だけでも5.4兆円。カー用品でも1.7兆円。いろいろな関連サービスを詰み上げると約10兆円というわけです。さらに、保険や燃料といったものを含めると20兆円ともいわれるマーケットです。今回はそんなところがどう変わっていくのかを討論したいと思います。


アフターマーケット市場の相関図

 まず、アフターマーケットの外的要因として一番変化が激しいのが、通信というよりもクルマが売れなくなったということです。日本で一番クルマが売れたのは、1990年代の777万台です。そして、このまま少子高齢化が進むと、2020年には460万台になるのではという報告もあります。ということは、30年間で約320万台の販売が消える市場なわけです。これが今の日本の実情というわけです。


国内の新車販売のピークは1990年の約777万台。現在は減少傾向にあり、2020年には460万台になるという予測もある

 こういうことを考えると、“繋がる”つまり“Connected”の前に、アフターマーケットは変わらざるを得ない背景があるといえます。そして2015年1月に国土交通省から「自動車関連情報の利活用に関する将来ビジョンについて」というものが発表されました。そのなかで重点テーマが4つ挙げられています。しかし内容をみると、クルマの製造レイヤーの話ではなく、そのすべてがアフターマーケットの話でした。


国土交通省が平成27年1月に発表した「自動車関連情報の利活用に関する将来ビジョンについて(概要)」の重点テーマ4項目

 まず、重点テーマとして挙げられている“「安全OBDに対応したスキャンツールの共通化」を通じた次世代自動車等の安全使用の促進”というところをみていきましょう。OBD(On-board diagnostics)とは、もともと排気ガスに異常がみられた時にドライバーに知らせることを義務付けようというところからスタートしたものです。これが安全OBDというものに進化したわけです。OBDの搭載は整備業界にどのような影響を与えたのでしょうか。


全日本ロータス同友会会長の室谷眞一氏

室谷氏 : 安全OBDという仕組みができてから、専用的な機械と汎用的なツール(スキャンツール)を使って診断できる文化ができてきました。基本的には従来のクルマという構造物に対する故障だとか損傷だとかをOBDがないと判断できなくなっているわけです。

 一般的なアフターマーケットの中ではメーカー問わず、多車種のクルマを汎用的にみるといった機能が必要になります。そうなってくると、安全を担保するにはどの部分をみていくかということが重要になります。基本的にはエンジンやオートマティックミッションなどの駆動系の問題、安全管理についてのエアバッグやABSに関連したブレーキ類です。お客様の安全を担保するためには必ず、そういった部分を説明していかなければならないという時代になりました。

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