収益源はビジネス界だけではない。CartoDBを次に多く利用しているのは、公的部門だ。たとえば、米国国立公園局はCartoDBを使用して、ベースになっているデータソースを更新することによって、同局が管理している公園のルートマップを公開している。
「彼らがウェブサイトのデータを更新すると、地図もリアルタイムで更新される」と同氏は言う。「このことは、彼らが地図を管理する方法を変えている。もはや誰かが地図を作成して公開するという作業はない。地図は最新のデータの状態を表すものにすぎない」(同氏)
ベンチャーファンドが支援するソフトウェアスタートアップ企業Mapboxは、GoogleやEsriにテラバイト単位のオープン衛星データで対抗している。同社はオープンデータとオープンソース技術を活用する企業の見本のような存在だ。
MapboxのCEOであるEric Gundersen氏は、「今収束が起こりつつある。米国政府が作成しているオープンデータは、技術が向上するに従ってそれを使ってできることが増えているため、価値を増している。オープンソースツールとクラウドインフラの成熟によって、小さなチームが世界規模のアーキテクチャを持つ大手地図企業を相手に戦えるようになっている」と話す。
Gundersen氏によれば、2013年にベンチャーファンドから1000万ドルを調達したMapboxは、5000以上の有料会員と、22万5000のアカウント保持者を抱えており、毎月数億件の地図閲覧がある。
「登録者は非常に多様で、Foursquare、Evernote、Pinterestなどの企業から、USA TodayやNPRのようなメディア企業、米連邦通信委員会(FCC)、米エネルギー省(DOE)、ハリケーンサンディの時のニューヨーク市まで多岐にわたる」と同氏は言う。「われわれは地図をよりソーシャルなものにしようとしているだけでなく、収益性を高めようとしている。その原動力は、素晴らしいチームの成長を支援することだ。われわれが有利なのは、オープンソースとオープンデータを活用しているためだ。われわれがどれだけのスタックを作ったか、知る者はいないだろう」(同氏)
Gundersen氏は、過去5年間に筆者がワシントンDCで会った中で、オープンソースソフトウェア、アジャイル開発、オープンデータの組み合わせの力をもっとも強く信じている人の1人だ。Mapboxにフルタイムで集中するために、Gutensen氏がサンフランシスコに移る前に取り組んでいたプロジェクトは、ワシントンDCのガレージオフィスでDevelopment Seedのチームがフロントエンドの構築を支援していた、HealthCare.govだった(MapboxはDevelopment Seedの仕事から生まれている)。HealthCare.govのバックエンドにはさまざまな運営上の課題や政治的な判断、技術的な問題があり、再スタートは悲惨な結果に終わったが、フロントエンドには問題はなかった。
de la Torre氏も同じように、地図業界でオープンソースソフトウェアの役割を拡大する伝道者の1人だった。「現在のところ、地理空間の世界では、ほとんどのイノベーションがオープンソースを原動力としていると言って構わないと思う」と同氏は言う。「新しいライブラリからデータ分析のための新たなツールまで、開発の多くはオープンソースの世界で行われている。ライブラリだけではなく、コード自体もそうだ。以前のオープンソースがオープン標準を実装する責任を負っていた状態から、今は標準を追うだけでなく、イノベーションを追い求めるべき時期であることにコミュニティが気づいた状態へと移行つつある」(de la Torre氏)
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