プロトタイプデバイスの外観は最終的な完成品と異なることもあるが、筆者は既に疑問に思っていることがいくつかある。特に大きな疑問はバッテリと効率性だ。
Araのチームは、少なくともProject Araの世界展開までには、Spiralプロトタイプファミリのバッテリ持続時間を丸1日まで延ばす努力をしていると述べた。バッテリもモジュールの1つにすぎない。これには良い面もある(容量を増やせる)が、悪い面(バッテリの効率が下がる可能性)もある。Team Araはこの課題に対処するため、デバイスの電源を落とさずに、複数の電源(バッテリパックに加えて、太陽電池アレイや小型燃料電池など)をホットスワップできるようにする計画だ。ただし、この場合、バッテリ持続時間を延ばすには、まずそれらの追加モジュールを購入しなければならない。
ほかにも疑問はある。コンポーネントを交換するとき、コンポーネント同士の連携に問題は生じないのだろうか。通常は、ソフトウェア層がコンポーネント間の通信を支援する。Araスマートフォンが標準のAndroidソフトウェアを搭載するのなら、問題は起きないかもしれない(いずれにせよ、ほとんどのスマートフォンは複数の企業が製造したパーツを使用する)。独自のバージョンのAndroidが搭載されるとしたら、問題が発生する可能性もある。
Project Araの広報担当者が米CNETに語ったところでは、「Module Developers Kit」(MDK)は、Endoskeletonとそこに装着されたモジュールの両方と通信できるように設計されているという。登場予定の「Ara Application Manager」は、概ね同じ機能を持つ2つのモジュール(例えば2つのカメラブロック)間の受け渡しを処理できるはずだ。
互換性に関する疑問もある。非力なプロセッサと超ハイエンドのカメラは相性が良くないだろう。何らかの要件か、少なくともヒントを提示されれば、Araユーザーも事故を回避できるかもしれない。Googleのグループはまだこの問題を解決していないが、顧客が相性の悪い組み合わせを避けて、相性の良いものを選択できるように支援する予定だという。
開放的な装着式の設計が原因で、耐久性と防水性に問題が出る可能性もある。何か問題が発生した場合、ユーザーは特定のモジュールメーカーに連絡するか、故障したパーツを交換する必要があるだろう。Araスマートフォンが故障した場合のセーフティネットは比較的小さいが、スクリーンが破損したときのようにパーツを自分で交換できる場合は、これまでより短時間で問題を解決できるかもしれない。
Project Araによると、プエルトリコでのパイロットプログラムで、Googleは「サードパーティーの物流パートナー」の力を借りて、保証や交換などの問題を処理する予定だという。
発展途上のコンセプトであるProject Araのモジュール式スマートフォンは、従来型のオールインワンのスマートフォンに短期間で取って代わることは想定していない。Androidファンと同様、Araはシンプルなソリューションを好む人々ではなく、スペックやボーナスハードウェアを自分でコントロールしたいという機械いじりが好きな人々にアピールするだろう。
スマートフォンメーカーのYezzは3月第1週にバルセロナで開幕するMobile World Congressで、一部のモジュールを披露する予定だ。それを除けば、ハードウェアメーカーやGoogle自体が何かを発表するのを気長に待つしかない状況である。「Spiral 3」プロトタイプの発表にも期待したい。Araのチームによると、同プロトタイプの開発は既に始まっているという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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