APIは、双方向的なものである必要がある。企業は、多様なサービスや機能を提供する膨大な数のウェブAPIの一部を使うことに目を向けるだけではなく、独自のウェブAPIを作成し、自身のサービスやデータを拡大する必要がある。
APIが、裏でアプリを連携させるものとしてプログラマーにのみ大切にされていたのは今は昔の話だ。APIは、急速に注目を集めるものとなった。
それは、APIがビジネスにとって計り知れない戦略的価値を持つものであるためだ。Harvard Business Reviewのブログサイトへの投稿で、Bala Iyer氏とMohan Subramaniam氏は、ウェブAPIがますます熱気を帯びている理由を説明している。ウェブAPIはビジネスの成長をもたらす。「API(情報をやり取りする手段や組織のオンラインサービスを要求する手段を規定する仕様あるいはプロトコル)によって、企業は他の企業とサービスを共有し、かつてないほどの速さでビジネスを成長させることができる」と両氏は述べている。
両氏は、企業APIの取り組みの例を挙げている。その1つは、Walgreensが、APIを通して自社の写真処理サービスをサードパーティー開発者に開放していることだ。Walgreensのデジタル関連部門のシニアプロダクトマネージャーであるJoe Rago氏は数カ月前、Forbes Insights向けに筆者が取り組んでいた研究報告の一環として、WalgreensのAPIプログラムの詳細を筆者に共有してくれた。オンラインのサードパーティーから、ますますWalgreensのサービスが提供され、ビジネスが行われると見越していると同氏は述べている。同氏によると、これまで、WalgreensのAPIプログラムはすべて、既存の事業をベースにしているという。「同社がリリースするであろうあらゆる将来のパブリックAPIプログラムを急成長させるために、最初からサードパーティー開発者を考慮に入れてものごとを考えることが極めて重要だった」(Rago氏)
APIの2つの重要なビジネス上の利益のうちの1つは、豊富なパートナーシップやコラボレーションを始めることだと、Iyer氏とSubramaniam氏は述べている。Twitterは、同社のブランドにとってのサードパーティーの価値を「TweetDeck」で学び、Googleはサードパーティー開発者が「Google Maps」を活用することでチャンスを秘めた大きな分野を認識した。
もう1つの利益は、「APIによって企業は、これまで考えたことがなかったかもしれない市場に進出できるようになる」ということだと両氏は述べている。両氏は、IBMがスーパーコンピュータ「Watson」を公開し、アナリティクスの分野でエコシステムを構築しただけでなく、APIを使ってヘルスケア分野で他の組織などとの関係を築いた例を挙げている。
APIのビジネス上の価値はどのように決まるのだろうか。ひとつの例として、あらゆるAPIの価値はそのデータから生じているということをMatt McLarty氏は挙げている。企業の内部に閉じられたままのデータには、あまり価値がないかもしれない。それは、膨大な素材の山でコストをかけてどこかに保存しておく必要がある。それでも、同氏はInfoQへの投稿で、「今日のますますデジタル化した世界で、データは貴重な資産にもなりうる。データは、ビジネスの機会や新しい収益源を見極めるものとなりうるクライアントのインサイトを提供する」と続けている。そうした新しい価値は、APIを通じて実現される可能性がある。
「企業のデータは経済的負担ではなく資産であるということの度合いは、3つのことによって決定される。アクセシビリティ、精度、適応性である」とMcLarty氏は説明している。「どのようなウェブAPIも、ある程度のデータにある程度のアクセシビリティを提供している。価値のあるAPIは、コアなビジネスに適応する正確なデータへのアクセスを提供する」(同氏)
それはつまり、データそしてサービスである。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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